こんにちは。

 

神戸のファイナンシャルプランナー 馬谷です。

 

現在、40代の方であれば、親御さんが、70~80代だと思います。

 

お盆休みに帰省した際、介護が目前に迫っていることを実感する人も少なくないかもしれません。

 

 

先日、ある会社で50歳向けのマネープラン研修を行った際、相談内容として多かったのが家族の介護問題でした。

 

「もうすぐ親の介護をすることになりそう。費用はどのくらいかかるのか?」

 

「今のうちから準備しておくことはなにか?」

 

誰でもいつかは直面する問題ですが、何から手を付けていいのかわからず、戸惑ってしまう人も多いのではないでしょうか。

 

中でも、一番の心配は、「お金」の問題です。

 

介護はいつ発生するかわからないので、先が読めず、漠然とした不安を抱えたまま、時間だけが過ぎてしまい、準備不足になってしまう方が多いように感じます。

 

現在40~50歳代の方であれば、家のローンや子供さんの教育費が一番かかるときですから、介護は深刻な問題になります。

 

今回は、介護に必要な金額と、事前準備についてみていきましょう。

 

 

介護のリスク

 

家族を介護するリスク

 

自分が介護をする立場になった場合のリスクを考えてみましょう。

 

厚労省「平成28年国民生活基礎調査」によると、

 

家族が要介護状態になったときの介護の担い手は、同居の家族です。

 

その年齢は7割が60歳以上となっており、いわゆる老々介護の状態です。

 

要介護認定者(要介護状態にある人)の年齢構成でみると、80代がもっとも多いため、その前段階からお金等の準備をしておく必要があります。

 

 

 

 

介護が必要となった主な原因は、認知症がトップであり、脳血管疾患、高齢による衰弱と続きます。

 

 

 

 

認知症患者数は、2012年に462万人と、65歳以上の高齢者の7人に1人でしたが、2025年には約700万人と、5人に1人になると見込まれています。

 

患者数が、700万人になると、65歳以上人口の約20%を占めることになり、その後も増加の一途をたどることになりそうです。

 

増加する分、介護を担う家族数が増えることを意味します。

 

 

介護離職の状況

 

介護離職者は、年間9~10万人にのぼります。(厚労省 雇用動向調査平成27年)

 

介護離職者とは、家族の介護をするため、仕事を続けることが難しくなり、会社を退職してしまう人達のことです。

 

介護離職者の離職後の変化として、経済面・肉体面で、負担が大きく増した人の割合が80%を超えています。

 

介護にはお金がかかりますし、日常生活もあるので、経済的負担は計り知れません。

 

法律は、会社に対して、従業員が退職せずに介護ができる制度づくりを義務付けています。

あとで、お伝えしますが、こうした制度をぜひ活用してほしいと思います。

 

毎年10万人が離職すると、会社側も人材を失うことになり、大きな痛手になります。

 

 

介護にかかるお金

 

公益財団法人 家計経済研究所の2016年調査によると在宅介護の費用は1人当たり、平均で5万円/月になっています。

 

これは、在宅介護にかかる費用であり、訪問ヘルパーやデイサービスの利用など介護保険による介護サービスの利用にかかる費用と、 医療費やおむつ代などの介護サービス以外の費用を足したものです。

 

上記の費用をもとにして、全体でどのくらいかかるのか算出してみましょう。

 

厚生労働省は、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」を発表しています。

 

2016年の調査では、

 

男性72.14歳

女性74.79歳

 

 

平均寿命との差は

 

男性8.84歳

女性12.35歳

 

男性を例にして、上記の8.84年を約9年と読み替えると

 

9年×12か月×5万円=540万円が必要となります。

 

介護が必要になった要因で「認知症」がトップになっていましたが、要介護度が高く、認知症も重度の世帯では、平均13万円/月 というデータも出ています。

 

 

公的介護保険のしくみ

 

介護保険は、市町村が保険者となって運営する社会保険サービスです。

 

現金が支給されるわけではなく、介護サービスそのものが提供されます。

 

介護保険加入者の区分は、次の二つに分かれており、保険料もそれぞれ異なります。

 

・第1号被保険者(65歳以上)
・第2号被保険者(40歳~64歳)

 

会社員の方であれば、第2号被保険者となり、毎月の給与から介護保険料が徴収されています。

 

 

家族を介護することになった場合は、市町村へ申請し、要介護度(重度から軽度まで7段階に分かれている)に応じたサービスを受けることになります。

 

サービスは、

 

・自宅で利用するサービス(ホームヘルプサービス)

 

・施設に通って利用するサービス(デイサービス)

 

・短期入所して利用するサービス(ショートステイ)

 

 

など種類がいくつかあり

 

かかった費用の1割が要介護者(要介護状態にある人)負担となります。

 

要介護者の所得が高い場合は、負担が2~3割になります。

 

申請したからといって、すぐにサービスを受けられるわけではなく、開始まで時間がかかります。事前に次の機関などで情報収集しておいたほうよいです。

 

 

介護の相談窓口

 

「介護保険制度は制度が複雑でよくわからない」

 

「親の認知症がこのまま進んだら介護が必要になるが、どうしたらいいか」

 

そんな悩みに対して、頼りになるのが、「地域包括支援センター」です。

 

全国の市区町村が設置することになった機関であり、高齢者の介護、福祉、医療、保健について相談に無料で応じてくれます。

 

センターは、中学校の学区域ごとに設けられています。

 

私の住む兵庫県では、「あんしんすこやかセンター」という愛称になっていますが、お住まいの市役所などに問い合わせれば、設置場所はわかります。

 

センターには、介護保険の専門家がいますし、現在、要介護状態になくても、予防しないと要介護状態になりそうな場合は、予防プランを作成してくれます。

 

その他、様々な機関と連携しているので、介護で困ったことがあれば、「地域包括支援センター」を思い出し、相談してください。

 

 

家族を介護するための準備

 

介護費用は、要介護者の資産や年金等で賄うことを考える

 

在宅介護にかかる費用は、540万円くらいとお伝えしましたが、これを家族がすべて負担しなければならないと考えると大変です。

 

まずは、要介護者の資産や年金などから賄えないか検討してください。

 

仮に親が要介護者になったと想定した場合、息子や娘でも親に資産や預金のことは、聞きづらいかもしれません。

 

ですが、今後のライフプランを考えた時、550万円は大きな金額になるので、親が負担できる金額を把握しておかないと、計画も立てられません。

 

例えばですが、

 

「知り合いの○○さんの家族に介護が必要になって、急にお金が必要になったと聞いたけど、うちは準備している?」

 

などのように話を向けてみてはどうでしょうか。

 

親子関係にもよると思いますが、

 

・もし介護になったらどうしてほしいかの希望

 

・近隣との人間関係

 

・現在と今後の経済状況

 

 

などを親が元気なうちにコミュニケーションを取りながら聞いておきましょう。

 

 

会社の制度をフル活用する

 

規模の大小にかかわらず、会社は介護休業に関する制度を導入しなければなりません。

 

育児介護休業法という法律があり、会社員は原則、2週間以上にわたって常時介護をする家族がいると介護休業を取得できます。

 

介護休業は、対象家族1人につき、通算93日までです。分割して取得することも可能です。

 

また、介護休業中は、雇用保険から介護休業給付を受けることができます。

他にも短時間勤務や残業の免除などを受けることも可能です。

 

 

介護と仕事の両立が難しく、会社に迷惑をかけるから退職してしまうケースが多いと聞きます。

 

同僚に迷惑をかけてまで休業するわけにはいかないと思われる気持ちもわかりますが、退職すると収入が途絶えますし、介護が終わったあとから就職先を探すのも大変です。

 

 

誰でもいつかは直面する問題なので、

 

「今は迷惑をかけるが、自分が復帰したとき、同僚に同じ問題が起こればサポートしよう」と思われてはどうでしょうか。

 

 

会社によっては、退職せずに「休職」という方法もあります。

 

収入は途絶えるかもしれませんが、在籍していれば会社の福利厚生を受けられますし、復帰すれば、今までのキャリア(知識、経験)を活かすこともできます。

 

 

社員が1名長期で休んでも会社はつぶれませんし、誰かがフォローして回っていきます。

 

退職せずに、介護をしていく方法を会社と相談してみてください。

 

 

介護費用に関する支援

 

介護保険によるサービス利用時の費用(自己負担分)は、「医療費控除」が受けられます。

 

医療費控除とは、生計を一にする家族が1年間に支払った医療費の合計が10万円を超える場合、確定申告により超過分の金額(200万円限度)を所得から控除できる制度です。

 

申請すれば、所得税や住民税が軽減されます。

 

申請は、会社の年末調整ではなく、個人で確定申告する必要があるので、サービスを利用した領収書類はきちんと保管しておきましょう。

 

 

最後に

 

介護は誰もが直面する問題です。

 

私も含めて団塊ジュニア世代(1971年~1974年くらいの生まれ)がもうすぐ50歳代に突入します。

 

これから親の介護問題が急増していくのは間違いないと思いますが、介護が必要になるのかどうか予想できませんし、お金は必要になるかもしれないし、そうでないかもしれません。

 

ですが、もし必要になった場合に備えてシミュレーションしておくことは重要です。

 

親が元気なうちに、経済面はもちろんですが、親の希望や周辺の施設など、調べておくことをおススメします。

 

介護問題も、ご本人のライフプランの一つとして、計画の中に組み込んでおきましょう。

 

例えば、介護に必要な額540万円のうち、親が半分出せるのであれば、残り、270万円です。これをどこから出すか。

 

退職金か、民間保険か、毎月の貯蓄なのか。

 

用意する方法は各家計により異なってきますので、ライフプランをしっかり作っていけば、方法は導いていけます。

 

親御さんと離れて暮らしている方は、長期休みなどを利用してぜひ、コミュニケーションを取りながら、介護について向き合っていきましょう。