こんにちは。
馬谷です。
新聞や雑誌などを見ると「多様化」という言葉をよく見かけます。
働き方のキーワードとしても、よく出てきますね。
正社員、パート、派遣社員、短時間正社員など、雇用形態が多様化し、働き方が大きく変わってきました。
私が就職した25年程前は、「働く=会社に就職する」といった考え方が一般的でしたが、今は、学生起業する人や、フリーで活動する人も多くなり、働き方に関する考え方が、どんどん変わってきています。
多様化したのは、働き方だけでなく、ライフサイクルも大きく変わってきました。
これまでは、20代~30代前半で結婚する人が一般的でしたが、40代で結婚し、子供を授かる人も珍しくなくなってきました。
今回は、この晩婚化、晩産化で変わるライフサイクルとお金の関係について見ていきましょう。
目次
晩婚化、晩産化で変わるライフサイクル
昭和45年と平成27年の平均的なライフサイクルを対比してみると変化がよくわかります。
初婚年齢が高まり、それに伴い出産年齢も高くなっています。
<地域社会ライフプラン協会「40歳代のライフプラン」(平成29年度版)より>
初婚年齢
夫 | 妻 | |
昭和45年(1970年) | 26.9歳 | 24.2歳 |
平成27年(2015年) | 31.1歳 | 29.4歳 |
第1子誕生
夫 | 妻 | |
昭和45年(1970年) | 28.3歳 | 25.6歳 |
平成27年(2015年) | 32.4歳 | 30.7歳 |
夫でみると、第1子誕生時の年齢が、4歳ほど上昇し、32歳を超えています。
32歳を超えていることを考えると、40歳代で子供を授かることは、決して珍しいことではなくなってきています。
皆さんの周りにもいらっしゃるのではないでしょうか。
新しい家族の誕生は、本当に喜ばしいことですが、40歳代で子供を持つと、のちのち教育資金が重くのしかかってきます。
40歳代は、会社でも中心的な役割を担い、収入面でも上昇している頃なので、子供が生まれてから数年は経済的に問題ない場合が多いです。
精神的にも経済的にも安定しているよい時期ではあるのですが、安定しているからこそ、財布が緩んで、出費が多くなる時期でもあります。
子供の成長に伴い、自分自身も定年に近づいていくわけですから、子供の大学進学前後に、その定年を迎えることになると、経済的にとても苦しくなります。
そうならないために、事前に計画を立て、見直しながら準備していく必要があります。
では、教育資金と準備方法についてみてみましょう。
教育にかかる資金と積立計画
教育費は、子供ひとりあたり、最低1000万円
幼稚園から高校までの教育費総額について、次のようなデータがあります。
幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高校(全日制) | |
公立 | 66 | 193 | 144 | 122 |
私立 | 149 | 921 | 401 | 298 |
(単位 万円)<文科省「子供の学習費調査」(平成26年)より>
注:学校教育費、学校給食費、学校外活動費の合計
幼稚園(3年間)から高校卒業まで、全て公立の場合でも約530万円、
すべて私立なら約1,770万円となります。
教育費の内訳を見てみます。


これに大学時の費用がかかります。
自宅 | 下宿 | |
国立(4年) | 523 | 814 |
私立文系(4年) | 683 | 953 |
私立理系(4年) | 818 | 1088 |
私立短大(2年) | 356 | 496 |
大学教育費総額(単位 万円)<セールス手帖社保険FPS研究所「ライフプランデータ集(2017年版)」>
大学まですべて公立へ行ったとしても、最低で「1,000万円」はかかることがわかります。
教育資金は、幼稚園から小学校までが貯め時
仮に42歳で子供が誕生したら、その子が18歳となり大学進学する際、親は60歳で定年を迎えます。
定年後は、再雇用され65歳まで働けるよう法律で定められていますが、給与は現役時の6割程度になる会社が多いです。
教育費は大学時が一番かかりますから、それまでに準備しなければなりません。
上記の教育費総額をみると、
幼稚園と小学校時は、他の時期に比べて、まだ負担が軽いので、この時期が貯め時です。
この時期を見逃さずに対策をしていきましょう。
(1)児童手当には手を付けず教育資金として貯蓄
子供が生まれると国から児童手当が支給されます。
児童手当は、中学生以下の子どもがいる世帯が対象です。
各自治体で申請できますから、忘れずにしておきましょう。
児童手当は、子供の年齢によって金額が変わります。
児童の年齢等 | 所得制限未満 | 所得制限以上 |
3歳未満 | 月額 15,000円 | 月額 5,000円 |
3歳~小学生(第1子・第2子) | 月額 10,000円 | |
3歳~小学生(第3子以降) | 月額 15,000円 | |
中学生 | 月額 10,000円 |
所得制限にかからなければ、
第1子でトータル約200万円が支給されます。
この児童手当を生活費に充てず、しっかり貯蓄しておけば、大学の初年度にかかる費用(入学金、授業料等)は賄えます。
(2)その他の方法で少額を貯めていく
児童手当以外にも、家計から少額でもいいので、なんとか捻出して積み立てていくとどうなるでしょうか。
仮に、子供が生まれてから、毎月 1万円を貯蓄していくと、18年後(大学進学時)にはいくらになるでしょう。
1万円×12か月×18年=216万円です。
これと児童手当を足せば、416万円になります。
国立大学(自宅)の総費用のうち、約8割を賄えることになります。
毎月1万円を捻出しようとすると、毎日300円ほど節約すれば可能です。
タバコ、缶ジュース、ひと駅分歩く、格安チケットを使う、ネットフリマで不要物を売る、ポイントを貯める、格安スマホへ乗り換える、などなど。
工夫すれば、なんとかできそうですかね。
さらに、この1万円を3%で運用することができれば、18年後には、約286万円(元本216万円)になりますから、児童手当をあわせれば、国立大学(自宅)の総費用をほぼ賄えます。
NISAや積立投資信託などを利用して、毎月1万円でも長期に渡って運用していけば、大きなお金に変わっていきますから、スタートが早いとメリットも大きくなります。
投資に気が進まなければ、
ローリスクの定額貯金や、個人向け国債、会社の財形貯蓄などを利用されるとよいと思います。
他に、学資保険も検討できると思いますが、利率が高くないことと、途中解約すると元本割れしてしまうケースが多いので、注意しておきましょう。
今後のライフプランを計画的に進めましょう。
毎月1万円の貯蓄と児童手当で、最低限の大学費用であれば、なんとか賄えることがわかりました。
大学進学時に一番お金がかかりますので、まずは、子供が18歳になるまでに500万円の教育資産をつくる計画で進められるとよいと思います。
塾代、予備校代など、考えだしたらキリがありませんので、ライフプランは毎年、見直していくことをおススメします。
子供さんの希望や親の収入状況など、毎年変わっていきますから、その都度、家族で話し合いながら進めていきましょう。
老後資金と教育資金を同時に貯めていく
教育資金と同時に、自分たちの老後資金も用意していかなければなりません。
40~50代の会社員の給与は、会社員人生で一番高い時期なので、経済的に多少ゆとりがあるかもしれませんが、何の対策もしていないと、日々の生活にお金が消えていってしまいます。
教育費が落ち着いたときは、定年後になっており、給与も下がり、老後資金を貯めるための原資が得られなくなります。
なので、教育資金と同時に老後資金も準備していく必要があります。
家計のやりくりで、教育資金以外に、もう1万円どこかで捻出できないでしょうか。
夫婦二人で格安スマホへ乗り換えたら、月1万円くらいは浮くかもしれません。
例えば、お金のあるうちに20万円ほど投資して、大手スーパーの株主になり、優待カードをもらい、買い物ごとに数%の割引を受けて節約する方法もありますね。
何十年単位で考えれば、節約額も大きくなります。
他にも、生命保険、自動車保険の見直しなどもあります。
なんとか探し出せば、1万円は用意できるかもしれません。
この1万円を定額で積み立てるのもいいですし、投資に回すのも方法です。
投資に回した場合の金額は、上記の教育資金でお伝えしたとおりです。
毎月1万円で老後資金を賄うことはできないかもしれませんが、少しでも早く行動に移していけば、その分、老後は楽になっていきます。
共働きで長く働く
お金を用意するには、収入を増やすか、経費を削減するしかありませんが、収入を増やすには共働きを続けていくことです。
どちらかが働いていなければ、勤めに出ることを検討しましょう。
仮に妻(40歳 給与手取 15万円)が働きに出て、定年の60歳まで勤めると、
15万円×12か月×20年=3600万円にもなります。
働きに出れば、子供の預け先など、問題はいくつか出てきますが、家族で協力していければ、なんとか解決できるのではないでしょうか。
実際、私自身も共働きで、子供を預けて仕事をしています。
なかなか大変ではありますが、妻とスケジュールを共有しながら、家事を分担してやっています。
男性の場合、家事が苦手な人もいるでしょうが、ご飯を炊いておくとか、洗濯物をたたむとか、ひとつひとつは小さなことでも、奥さんは助かりますよ。
共働きを続ければ、教育資金、老後資金も貯めることができますし、住宅や車のローンがあれば、繰り上げて返済することも可能になります。
最後に
40歳代で子供を授かった場合、うれしい反面、経済的な不安も出てくると思います。
「大学までの教育資金は用意できるだろうか」
「教育資金は何とかなっても、自分たちの老後資金は大丈夫だろうか」
など、不安要素はたくさんあります。
でも不安があれば、それを解消していくために、行動していけばいいわけですね。
・今から、ライフプランを作って、家計を見直して、計画立てて貯蓄していく。
・家計の中から捻出したお金で、できる範囲で投資に回していく
など、行動できることはたくさんあります。
会社員の皆さんであれば、会社でも「仕事の目標」を設定し、計画立てて進めておられるのではないかと思います。
もともと、計画立てて進めていくことは、得意なはずですから、家計も同じように進めていきましょう。