毎日のように利用しているグーグルのサービス。

誰もが知っているこの会社は、社員のマネジメントにおいても様々な取り組みをしています。

2012年には、生産性の高いチームの特性要因を明らかにするプロジェクト名「アリストテレス」が始まり、2015年に調査結果を発表しています。

このプロジェクトでは、グーグルの社内にある数百ものチームの中で、生産性の高いチームと生産性の低いチームにはどんな違いがあるのか、それを調査分析しています。

この調査結果をみてみると、パワハラ上司がいるような組織は決して生産性は上がらないし、部下の人たちの成長も望めないことがよくわかります。

これからは、どの会社もパワハラするような人を会社においておく余裕はなくなるので、徐々に淘汰されていくのではないでしょうか。

今回はその理由について、プロジェクトの調査結果をもとにお伝えしたいと思います。

Googleが教えてくれるパワハラ上司の末路

調査の結果、生産性の高いチームの特性として次の5つが挙げられています。

1.チームの心理的安全性が高いこと

心理的安全性とは、自分らしさを発揮しながらチームに参画できることです。

安心して何でも言い合える 、何を話しても受け止めてもらえる 、そうした安心感があるからこそ、自分を表現し、失敗を恐れずに新しいことにも挑戦していけるようになりますから、結果として生産性が上がります。

2.チームに対する信頼性が高いこと

信頼性とは、自分のチームは決められた時間内に高い成果を上げることができると信じていることです。

チームのメンバーそれぞれが、質の高い仕事を時間内に仕上げてくると信じています。そして、メンバー全員がそれぞれ責任感を持って仕事に取り組むため、チームの生産性が上がります。

3. チームの構造が明瞭であること

構造が明瞭とは、メンバーそれぞれの役割分担が決まっていて、目標やそれを達成するための計画が明確であることです。

メンバー全員が自分の役割を認識し、自分の役割がチーム全体にどのような影響を及ぼすか理解しているため、チーム内の情報共有がスムーズとなり生産性が上がります。

4.チームの仕事に意味を見出していること

メンバーそれぞれが自分の仕事に意味を見出していることです。

自分の行っている仕事の意味や目的をはっきりと理解しているため、やらされ感がなく仕事へのモチベーションを保つことができるため生産性が上がります。

5.チームの仕事が社会に対して影響をもたらすと考えていること

自分の仕事は社会に良い影響を与えることができると信じていることです。

みんなでもっといいことをやっていこう、社会に役立つことをやっていこう、そう思って仕事をしていくことができるので生産性が上がります。

「心理的安全性」がチームの根幹

上記の5つが、生産性の高いチームづくりにとって根本的に大切なことだというのが、プロジェクト・アリストテレスの結論でした。

そして、この5つの中で一番大切なのは「心理的安全性」と結論付けています。

「心理的安全性」という言葉は、 チームの中で安心して自分のことを表現したり、意見を言えたり、 自分らしく働けるということです。

つまり、上司やチームのメンバーの顔色をうかがいながら仕事をする必要がないということですね。

このような状態になっていることが、心理的安全性の高いチームと言えます。

この心理的安全性が根本にあるからこそ、上司やチームのメンバーと信頼関係を築くことができ、お互いに協力し合いながら目標の達成に取り組んでいくことができるようになります。

結果として、生産性が上がって社会に良い影響与えることができるというわけです。

このような信頼関係が成り立った人間関係の中で、仕事をしたことのある人もおられるかもしれませんが、そのときはどんな心理状態だったでしょう?

仕事が忙しく大変だったとしても、「よし頑張ってやろう」という気持ちになれたのではないでしょうか。

パワハラ上司の末路:いずれ淘汰される

そしてもう一つ、このプロジェクトで明らかになったのは、メンバーひとりひとりが、自分のことを表現したり意見を言えたり、 安心して自分らしく働ける環境を整備する上司の役割が大切であるということです。

そのために上司はチームのメンバーひとりひとりに関心を寄せ、存在を承認してあげることが重要です。そうでなければチームの心理的な安全性を高めていくことはできません。

一方で パワハラをしている会社はどうでしょうか?

成果を上げることばかり重視して部下の気持ちを考えない。

自分の成果を上げるためなら部下をこき使ってもかまわない。

部下をコントロールするために恐怖で支配する。

こんなことをしていれば、チームの心理的安全性なんて高まるはずはないですし、信頼性を築くことなんかできません。

当然、生産性だって上がりません。

今回のコロナ騒動もあり、今後業績が厳しくなる会社も多いと思います。

そうした会社で、部下との信頼性を築くことができず、生産性もあげられない人を社内においておく余裕はもはやなく、いずれ淘汰されていくと思います。

まとめ

グーグルという会社は世界的に大きな会社ですから、上司になる人も当然優秀な人が多く、人のマネジメントに関する研修もたくさん用意されているんだろうと思います。

だから、グーグルにはできるけど一般の会社にはできないと思ってしまうかもしれません。

でもチームの心理的安全性を高めるというのは、管理職になれる能力がある人であればそんなに難しいことだとは思えません。

部下の事を気にかけ、働きやすい環境を作っていこうと行動すればいいだけのことです。

すぐにその成果が現れなくても、上司がそういう環境を作っていこうとしてくれているのがわかれば部下はついていきます。

プロジェクト・アリストテレスが示しているように、上司が一番やらなくてはいけないのはチームの「心理的安全性」を高めることです。

それができず、逆に低下させるような行為を行うパワハラ上司は、今後どこにも居場所はなくなると思います。

でもそれを待っているだけではパワハラから脱出することはできませんので、パワハラから脱出するためにどんな方法が良いのか、これからもブログでご紹介していきたいと思います。