先日、こんなご相談を受けました。
会社に入社して最初は順調だったけれど「作業が遅くてイライラする」と
上司から言われるようになった。
そして、だんだん態度が冷たくなり、他の社員の前で悪口を言っているらしい。
毎日がつらい。。でも、ようやく見つかった仕事だから辞めたくない。
頑張って早く仕事に慣れようとしているのに、こんな言葉を浴びせられると、つらく、苦しい気持ちになりますね。
こうした状況になると、だんだん自信が持てなくなり、自分の力を奪われていきます。
力を奪われていくと、様々な問題が生じます。
だから、絶対に自分の力を相手に奪われてはなりません。
今回は、自分の力を奪われないためのテクニックとして「相手の言葉を厳しく評価する方法」をお伝えします。
自分の力を奪われるとどうなるか?
パワハラでメンタルが弱り、自分の力を奪われてしまうと、次のような問題が生じます。
被害者意識に陥ってしまう
「上司の言うことは正しい」
だから、
「上司からの批判は受け止めないといけない」
「上司に反論してはいけない」
などのように考えてしまい、自分の思考をコントロールすることをやめてしまいます。
そして、「相手のせいでイヤな気分になる」「自分ばかりが損をさせられている」といった被害者意識が出てきます。
被害者意識が出てくると、相手の評価で自分の価値をはかるようになり、自分の思考、感情、行動を相手に支配されることになってしまうのです。
支配下に置かれると、相手の一言一言が気になりだして、心が休まりません。
相手の言葉に神経質になる
相手の言葉は、必ずしも正しいとは言えないのに、その言葉を評価することをせず、そのまま受け止めてしまいます。
たしかに上司や経験年数の長い同僚などから「あなたは◯◯だ」と批判の言葉を言われると、そのとおりかも思ってしまうかもしれません。
でも、他人の言葉や意見なんて、ホントいい加減で根拠のないものも多く含まれています。
冒頭でお伝えした相談者さんの上司は、新しい仕事を始めたとき、いつも完璧にこなしているのでしょうか?
そんなことないはずです。
なのに、お構いなしに「あなたは◯◯だ」と批判の言葉を投げつけてくる。
自分の力を奪われている状態だと、投げつけられた批判を評価する力を失い、深刻に受け止めてしまいます。
相手の言葉に必要以上に大きな力を与えてしまうのです。
目標が見えなくなる
自分が描いていた人生や仕事上の目標を見失ってしまいます。
それは、今、目の前の問題が頭の中の大部分を占めてしまい、未来に想いをはせることすらできなくなるからです。
自分の力を奪われてしまうと、自分の目標さえも邪魔され、成長を阻まれてしまうのです。
そうすると、希望する人生を送ることができません。
そのような人生にさせられてしまった相手に対する怒りがふくらんできますが、その怒りをぶつける場所がなく、いつの間にかストレスだけが積み重なり、心が深く傷ついてしまいます。
相手の言動を「厳しく評価」する方法
では、自分の力を奪われないためには、どうすればいいのでしょうか。
その方法の一つは「相手の言葉を厳しく評価する」ことです。
相手の言葉が本当に正しいのか、的を射たものなのか、厳しく評価するのです。
例えば、友人や家族から、自分の考え方のクセや行動についてアドバイスを受けることで、前向きな変化になるケースもあります。
でも、批判する側に問題があることも多いのです。
とくにパワハラしてくるような人は、自分のストレス発散や嫉妬などのために、批判を繰り返しますし、誰かをおとしめることで気晴らしをしようとさえします。
だから相手からの批判を受け入れる前に、言葉の中身を見極めることが大切になるのです。
上司から批判的な意見や言葉を投げつけられたとき、冷静になって次のポイントを確認するようにしてください。
相手の言葉が真実だという根拠はなにか?
例えば「あなたの作業は遅い」と言われたとき、その批判の根拠を探しましょう。
遅いというのは誰と比較して遅いのか、その根拠です。
経験年数の多い上司と比べて遅いのは当たり前ですよね。
では、同じ時期に入った同僚と比べて遅いのか。
これまでの新人の平均と比べて遅いのか。
など、上司の言うことは本当に真実なのか探してみるのです。
もし見つからないなら、その上司に直接聞いてみてください。
明確に答えられるなら、どこを改善すればいいか分かるはずですから、的確なアドバイスができるはずですよね。
それができないのなら、なんの根拠もなく言っているだけです。
そのときは「上司の言葉は真実ではない」のだから、振り回されずに淡々と自分の仕事をしていけばいいのです。
この上司はなぜ私に批判的なことを言うのだろう?
現状から一歩離れて客観的に、上司がなぜ批判的なことを言うのか考えてみましょう。
その上司がたまたま目にした、あなたのある行動が原因かもしれません。
例えば、まったく初めてやる仕事の、ある瞬間だけを見て判断しているのかもしれません。
他にも、部下が自分の思い通りに動いてくれないイライラなのか、上から与えられている目標が達成できないことへのプレッシャーを感じているからなのか。
じっくり観察していると見えてくるものがあります。
上司の批判が正しいとは限らないという前提はしっかりと持ったうえで考えてみてください。
自分の行動を改めるべきか?
上司の批判を確かにそのとおりだと受け止めて行動を改めることもあります。
上司の言うことが腑に落ちて、理解できるのであれば、行動を改善していきましょう。
改善もどこから手をつけていくのがよいのか、上司の視点で考えていくと優先順位がつけやすくなります。
ただし、「〇〇しなくちゃいけない」よりも「◯◯したい」という思いで行動したほうがよい結果が生まれます。
なぜなら「〇〇しなくちゃ」は自分に無理をさせながら動くことになるので、ストレスがたまりやすいです。
一方、「〇〇したい」は自主的に動くことなのでストレスはたまりづらいですし、仕事に対して意欲的に取り組むことができ、身につくスピードも早くなります。
すべて自分で選択することができる
ここまでお伝えしたきたように、上司の言葉は真実とは限りません。
私はパワハラする人の言葉は、最初から真実ではないと疑ってかかったほうがいいとさえ思っています。
相手の批判的な言葉には「決して同意しない」と決意することで、前に進むこともできます。
批判的な言葉を投げ続けられると、メンタルが弱ってくるため、自分の行動の選択肢が減っていき、「もう我慢するしかない」の一択になっていく人が多いです。
そして「明日、イヤで嫌で仕方ないけれど、仕事にいくしかない」とつぶやきながら、朝を迎えてしまう。
でも、これも自分で選択した結果です。
出社しないことを選択すれば、会社をクビになる。給料はもらえなくなり、家族を路頭に迷わせることになるかもしれない。
だから、我慢して出社するわけですが、それでも、いまの仕事に行くということは自分で選択したことなんです。
この選択は本当に正しいのか、他の選択肢はないのか、ぜひ考えてみてください。
自ら選択肢を増やし、その中からベストな選択をしていくために、自分の力は決して相手に奪われないようにしましょう。
まとめ
相手から批判を受けているときは、自信が持てなくなり、自分の力を奪われていきます。
力を奪われていくと、今後の人生さえも支配されかねません。
だから、絶対に自分の力を奪われてはダメです。
そのための方法として、今回は「相手の言葉を厳しく評価する方法」をお伝えしてきました。
職場だけでなく日常生活でもそうですが、相手の言葉が心に重いダメージを与えることがあります。
でも、相手の言葉なんて本当にいい加減なものです。
なんの責任も負わず、相手がどう感じるかも気にせず、真実かどうかも確認せず、ただ自分の感じたことを言葉にしているにすぎないことも多々あります。
そんな無責任な言葉に惑わされ、自分の大切な時間やエネルギーをムダにしないでください。
「自分の思考、感情、行動は誰にも支配させない」と決めて相手と接していきましょう。