「オマエ、まだこんなことができないの!! やる気あるのかっ!?」
上司から毎日のようにパワハラされて
もう限界・・・
会社に行きたくない。
退職したい、でも次の職場を見つける気力が湧かない。
休日もゆっくり休めず、月曜日のことばかり考えている。
趣味も楽しめなくなってしまった。
こうした経験をしている人もいると思います。
こんなにも自分はつらく苦しいのに、なぜ会社は上司を処分しようとしないのか?
相談窓口に訴えても動きが鈍い、なぜ会社は動いてくれないのか?
なぜなら、あなたよりも上司の肩をもつほうが会社の利益になると考えているからです。
会社というところは、つくづく理不尽な場所だと思いますが、だからといってなにもしないでいると会社の思うツボです。
今回は「パワハラ上司が処分されず、これからどうしたらいいのかわからない」と悩んでいる人に向けて、会社が加害者を処分しない理由とその対処方法をお伝えします。
会社がパワハラ上司を処分しない理由
まず、会社がパワハラ上司を処分しない、解決に向けて動かない理由を3つお伝えしていきます。
①穏便にうやむやで済ませたいから
2020年6月にパワハラ防止法が施行(中小企業は2020年4月)され、社内相談窓口を設置することが義務付けられました。
この窓口は、会社の総務や人事担当者が兼務するケースがほとんどです。
彼らは相談窓口専任ではなく、他にも様々な仕事を抱えているので、本音ではあまり込み入った話には関わりたくないと思っています。
でも仕事ですから、窓口担当者の多くはあなたからの相談に対して真摯に取り組もうとしますが、与えられている権限はしれていますし、立場上あなたの100%味方になることもできません。
彼らは総務人事として会社も守らないといけない立場であり「自分がこの問題を解決することによって会社に損害が出てしまったらどうしよう」という考えも浮かぶので、自分の行動にブレーキをかけてしまうことがあります。
だから、なるべく問題が大きくならないように「穏便に、うやむやですますことができれば」と考えてしまうのです。
そうすると、積極的に動こうとしませんから、なかなか解決に進んでいきません。
もちろんそうした考えを持たず積極的に動いてくれる担当者もいますが、動けるのは所属部署や部門長が社内である程度のチカラを持っているときです。
担当者の所属部署がどのくらい社内でチカラを持っているのかはパワハラ問題解決に影響があります。
②懲戒処分の社内規程があいまいだから
社員が10人以上いると「就業規則」を整備することが法律で定められています。
会社の就業規則を読んだことがない人もいるかもしれませんが、パワハラ加害者を懲戒処分にするには就業規則という会社のルールブックにのっとって処分を決めなければなりません。
一般的な就業規則では、会社のルールに違反した場合「戒告、けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇」などの処分をすることが定められています。
しかし、多くの場合パワハラ加害者にどのような処分を下すのか具体的には書かれていません。
だから、会社はどう処分すればいいか判断ができないのです。
社内で懲戒処分を下した前例がなければなおのこと、「ひとまず口頭で注意だけしておこう」とか、「一番軽い「戒告」にしておこう」といったかたちで様子見をする会社が少なくありません。
③上司が実績も経験も上だから
会社は上司と部下の間でパワハラ問題が起きとき、これまでの経験や実績などを考えて、どうしても上司である加害者側の肩を持つ傾向が強くなってしまいます。
この上司を処分することによって退職されてしまい、会社の売り上げが減ってしまうかもと不安になるなどして、積極的な処分を下さないのです。
こうしたことを続けていくと社員からの信頼も得られなくなり会社は衰退していく一方なのですが、そうしたことに気づかず目先の利益を追ってしまいます。
また、パワハラ上司は会社からの評価が高い場合が多く、処分されにくいこともあります。
なぜなら、彼らは上からの評価を異常に気にしながら行動しているので、 部長や役員などからのウケもよく気に入られているからです。
本来であれば会社の労働環境を良くして個人の生産性を上げていくために、パワハラするような人は排除していくべきなのですが、それができない会社が多いのです。
会社が解決に向けて動かないときの対処法
ではパワハラ上司が処分されない、会社が動かないから、我慢するしかないのでしょうか?
ここからは、どうすればいいか対処方法を3つお伝えしていきます。
①相談窓口担当者を動かす
先ほど、「窓口担当者の本音はあまり動きたくないと思っている」とお伝えしました。
でもパワハラ問題を上手に解決していこうと思えば窓口担当者の協力は欠かせません。
あなたがパワハラ上司と直に話し合うのは難しいでしょうし、パワハラがさらにひどくなっても困りますから第三者に間に入ってもらうことが得策です。
ではどうすれば動いてくれるのでしょうか。
窓口担当者は外部に相談されるのがイヤ
担当者に相談してもなかなか動いてくれないときは、「外部の労働局内に設置されている相談センターへ相談してみようと思っている」ことを伝えてみます。
担当者にとって、外部に相談されるのは本当にイヤです。
わたしが総務人事担当だったのでよくわかります。
外部に会社の恥部が漏れたり、労働局から指導が入ったら自分の責任になるかもしれないと思うからです。
だから、重い腰を上げて解決に向け動き出してくれることがあります。
担当者にプレッシャーをかけるようで少し気が引けるかもしれませんが、解決に向けて動くのが窓口担当者の仕事ですから、パワハラから脱出するための方法と割り切りましょう。
就業規則の整備を促す
さきほど就業規則についてお伝えしましたが、加害者を懲戒処分にするには、パワハラしたときの処分内容を就業規則で明確にしておく必要があります。
自社の就業規則を確認し明確化されていなければ、整備するよう担当者に促しましょう。
すでにパワハラ防止法は施行(中小企業は2022年4月)されており、パワハラしたときの処分方法を決めるよう定められていますから、就業規則は整備しなければなりません。
担当者の仕事に口出しするのは気が引ける人がいるかもしれませんが、会社にとって必要なことですから気にすることはありません。
整備を促すことで、担当者はあなたのことを「法律のこともよくわかっている」と思うようになりますし、ごまかしたりできなくなります。
相談した内容をすべて記録する
窓口に相談した内容は、あなた自身でも記録を取るようにしてください。
加害者の言動などのパワハラ証拠はもちろんですが、相談記録も重要です。
何回相談しても会社が動いてくれなかったという事実は、外部に相談するときや、訴訟になったときの証拠として利用できます。
②転職の準備をする
転職エージェント、ハローワークで求人している会社を調べる
パワハラから脱出する方法のひとつは「転職」です。
まず転職エージェントに登録し、ハローワークでも求人情報を調べてみましょう。
「転職エージェント」でインターネット検索すれば会社はたくさん出てきますから、大手のどこかを選択すればいいと思います。
登録してあなたの職種で求人している会社をいくつか紹介してもらいます。
そして、あなたの職種では、いまどんな人材が求められているのか、どんなスキルが必要とされているのかをチェックします。
自分のスキルで不足していることをチェック
必要とされているスキルがわかれば、自分と比較して不足している点を洗い出します。
たくさん出てくるかもしれませんが、すべてを克服するのは難しいので、まずどれか1点に絞って身につける方法を考え実行してください。
資格取得や、語学力を磨くなどでもいいと思います。
動くことはパワハラを止めることに近づいている
転職することを目標にし、必要とされるスキルを身につけるために日頃から動いていきましょう。
例えば、レベルの高い資格を取得して「こんな会社、転職していつでも辞めてやる」と思えると精神的にも余裕が出てきます。
本当に転職するかどうかはあとから決めればいいのですから、まずは「転職する」ことを前提にして動いてみましょう。
あなたがなにかしら動けば、必ずパワハラを止めることに近づいていきます。
③飛び抜けた専門スキルを身につける
パワハラ上司がもっていないスキルを身につける
相手が持っていない専門スキルを身につけましょう。
それがあれば、大きな自信につながります。
パワハラを受けているときは、自己肯定感が下がり、すべての面において上司には敵わないと感じてしまいますが、ひとつでも相手を上回っているスキルがあると、精神的優位に立てるので、相手に対する恐怖心が和らぎます。
外部のセミナーや講習会などに出かける
転職するためのスキルアップと似ていますが、外部のセミナーや講習会などに参加することをオススメします。
仕事に関係するものでなくてもいいと思います。
パワハラを受けているときは、そのことばかり考えて余裕がなく、行動範囲も狭くなってしまいがちですから、意識的に普段の生活エリアを飛び出して、まったく異なる環境に身をおいてみましょう。
休日にセミナーや講習会に来て学んでいる人は成長意欲が高く、人間力も優れた人ばかりです。
そこでの出会いや経験は刺激になりますし、今後の人生にもよい影響を与えてくれます。
自ら成長していくことで、相手を見返してやりましょう。
まとめ
今回は、会社がパワハラ加害者を処分しない理由と対処方法についてお伝えしました。
会社は経験や実績のある上司の肩を持つ傾向にありますが、パワハラ防止法が施行されるなど、社会のパワハラに対する目は厳しくなっています。
加害者の味方を続けていると、会社はマスコミやネットで糾弾され社会的信頼が失墜し、社員が離れるなどして、衰退していくことは間違いありません。
会社は、加害者のパワハラ行為とこれまでの仕事実績は分けて考えて評価し、パワハラ行為に対しては毅然として処分を下さなければなりません。
今後はパワハラ撲滅を方針として掲げる会社が増えてくると思いますが、まだまだ時間がかかりそうです。
いま、パワハラ受けている人は会社が変わるのを待っている時間はありませんから、今回ご紹介した内容などを参考にして少しでも早く現状から抜け出せるよう行動してみてください。
ほんのちょっとした行動を始めるだけでも現状は変わっていきます。