「自分はいつも正しいことをしている」と主張して相手の話しを聞かない

 

 

なんでも周囲の人のせいにして「自分が悪かったかも」とは一切思わない

あなたの周りに、こんな上司がいて悩まされていませんか?

自分の正しさを主張し、反論を許さず、威圧的に接してくる、こんな人間が上司になると毎日が苦痛で仕方ありません。

上司に言われたとおりに仕事を進めているのに、

「なんでそんなやり方をしているんだ」

「そんなことを言った覚えはない」

「わたしが言ったのはそういう意味じゃない」

などと言ってきて、自分の過ちを決して認めない。

でも上司だからどうすることもできず、ミスの責任だけ負わされてしまう。

そうすると、心労が重なり身体にも影響が出てしまいます。

今回はこうした「自分は間違っていない」と主張し、周囲をかき回す上司への対処方法をお伝えします。

周囲をかき回す上司のタイプ

まずは、周囲をかき回す上司にはどのような傾向があるのか、今回は3つのタイプ別にお伝えします。

タイプ① なにがなんでも自分を守りたい

典型は「自分のミスを部下のせいにするタイプ」です。

パワハラ相談を受けていてもこうしたタイプに対する相談はよくあります。

ある相談者さんの例では、上司から指示を受け、渡されたデータを集計して提出したところ「このデータは間違っている、やり直せ」と言われたそうです。

何度チェックしても間違いがなく、結局は上司から渡されたデータがそもそも間違っていたのですが「数字そのものをチェックするのも、あなたの仕事だろ!何年仕事しているんだ!」と怒鳴られたというのです。

もう無茶苦茶な話ですが、こうした人は自分のミスを責められるのが怖くて、自分を守るために必死になります。

だから「自分は間違っていない、あなたが悪い」と主張して相手のせいにしてきます。

そして、怒りで相手を服従させるわけです。

怒りで服従させようとするのは「怒れば相手は言うことをきく、責めてこない」という成功体験をもっているからです。

怒る上司とやりあう人は少ないので、余計に成功体験が積み重なっていき、手がつけられなくなってしまいます。

タイプ② 他人より優位に立ちたい

「他人より自分が優位に立っていないと許せないタイプ」です。

とにかく自分は価値の高い存在であり「あなたより優れている」ことを主張してきます。

才能や能力、経験、その他にも有名人と知り合いだとか、他人と比較することでしか自分の存在価値を認められません。

だから、自分の意見が否定されたり、自分よりも優秀な人が近くに出てきたりすると不機嫌になります。

そして、自分の優秀さを認めさせるために、相手を罵倒するなどして、自分の価値を相対的に上げようとするのです。

私がパワハラ被害を受けたときの相手はこのタイプでした。

私はある資格を取得し相手より専門知識があったため「こういう方法があるので、こちらのほうが効率的です」と仕事の提案をしたのですが、相手は聞く耳を持ちませんでした。

「その根拠を示せ!」

「あなたの言っていることは間違っている!」

などとネチネチ責め立ててきました。

相手は実務から遠ざかっているので専門的な知識を仕入れていなかったのに「自分の価値を否定された」「自分の知識不足を否定された」と感じて攻撃的になったと考えられます。

このタイプは、常に「自分が上で、相手は下」という位置づけをつくりたがるのが特徴です。

タイプ③ 自分に問題があると思われたくない

「自分に問題があることをごまかしたいタイプ」です。

タイプ①と通じるところもありますが、自分の問題や弱みを責められる前に相手を攻撃します。

人は認識している自身の問題や弱さを相手から突かれると、それを否定したいために相手に対して攻撃的になることがあります。

あなたもそうした場面に出くわしたことはありませんか?

例えば、自分が100%悪いときより、上司にも問題があったときのほうが、より感情的に怒る例は多いと思います。

なぜなら「悪いのは自分ではない」と考え、この問題を否定したいというという強い防御反応が働き、自分が責められる前に相手を徹底的に攻撃するからです。

まさに「攻撃は防御なり」ですが、その場をなんとか乗り切りたいという思いが先行して行動しますので、相手が傷つこうがどうなろうがおかまいなく、ときに常軌を逸した行動に出ることもあります。

振り回され被害にあう部下のタイプ

次に、被害を受けてしまいがちな部下のタイプについてお伝えします。

それは一言でいえば「まじめで誠実な人」です。

このタイプは、いつも自分を抑えて相手にあわせた行動を取ろうとする人が多いです。

会社では重宝される人ですが、このタイプの人は「自分は間違っていない」と考える人達のターゲットにされやすいのです。

相手は自信満々で「自分は正しい」「自分は間違っていない」と主張してきますが、基本疑うことをせずにそのまま受け止めてしまうので、反論することをしません。

そうすると相手の言いなりになり、振り回され精神的な問題を抱えることになります。

自分は間違っていないと思い攻撃してくる人に対する解決策は、戦うか逃げるかのどちらかしかありません。

しかし、戦って勝ったとしても、報復されるかもしれない、給与を下げられるかもしれないといった悩みが次々と出てきて、結局我慢するしかないという選択肢しかなくなってしまいます。

とくにまじめで誠実な人ほど「ここで頑張るしかない」「ここで負けるわけにはいかない」などと思ってしまいますから、ときには「逃げる」という選択肢があることも忘れないでください。

自分でできる対処ポイント

ここからは「自分は間違っていないと攻撃してくる人」への対処ポイントを3つお伝えしていきます。

ポイント① 上司に好かれようとするのをやめる

あなたは、自分は間違っていないと思って攻撃してくる上司に好かれたいですか?

答えはNOだと思います。

それなのに、なんとかその上司に好かれようとしていませんか。

それは反射的に「相手にあわせないといけない」「相手が正しいから」と考えて、自分を大切にせず、相手に依存してしまっているからです。

自分にとってたいして関係のない人に対しても「相手からどう思われるだろうか」と気をつかっていい人になろうとしてしまうのではないでしょうか。

もう、その考えはやめましょう。

あなたを攻撃し傷つけてくる相手は、あなたにとってどうでもいい人間のはずです。

どうでもいい人間なのであれば、もう「どう思われたっていい」のではないでしょうか。

そこで、まずは「あの人にはどう思われてもいい」「どうでもいい相手」という認定をしっかりくだしてください。

そして、こころの中で思っているだけではなく声に出して言ってみてください。

これは、わたしも実践しています。

「〇〇さんにはどう思われてもいいから自分のやり方でやる」

「〇〇さんに気を遣っても自分が損するだけ」

などと声に出して言ってみます。

もちろん本人の前ではなく、1人のときにやりますが、これが結構頭がスッキリして迷いがなくなるのです。

また、ノートやメモなどに書いておき、それを時折見直すのも効果的です。

このような方法をお伝えすると「上司とは仕事の関係もあるし、どうでもいい人とは思えない」という人がいるかもしれません。

確かに仕事を進める上で関係性は大切ですが、好かれる必要はありませんよね。

好かれようとするのではなく、仕事を進めていくために必要最低限の関係性だけを作ればいいと思えれば楽になります。

ポイント② 相手を観察する

「自分は間違っていない」などと言って攻撃してくる人とは一切関わらないようすればいいのですが、相手が上司であればそうはいきませんよね。

いくら上司が悪いと思っていても、怒られればこころが傷つきますし、ダメージを受けます。

それは相手の言葉をそのまま受け止めてしまっているからです。

だから、相手の言葉は受け止めずにスルーして、客観的に相手を観察することに目を向けてみてください。

相手が何か言ってきたら、その言葉に反応するのではなく

「この上司は自分のミスを隠そうとして怒っているんだな」

「いま、優位に立ちたくて必死なんだな」

という具合に、どんなタイプなのか観察しまくってください。

怒られていても、観察することに意識が向けばストレスは軽減されますし、その観察結果から今後どう行動していけばいいのかヒントが見えてきます。

ポイント③ 自分の責任だとは思わない

先ほど被害を受けてしまいがちな人は「まじめで誠実な人」とお伝えしました。

このタイプの人は、いつも自分を抑えて、相手の主張をそのまま受け止めてしまいがちなので「あなたが悪い、あなたのせいだ」などと言われると、「自分が悪かったんだ」と罪悪感を抱いてしまいます。

そんなときは、先ほどの観察方法を使って「相手は罪悪感を抱かせることで、自分の身を守ろうとしているだけ」であることに気づいてください。

相手はときに「あなたのミスで会社が大変なことになる」「このミスは取り返しがつかない」などと大騒ぎすることがあります。

そうした行動を取るのは「部下のやったことであり、自分には責任がない」と周囲に対してアピールしたいからです。

でも社員ひとりがミスしたくらいで大問題になるでしょうか。
もちろんまったくないとは言いませんが、たかが知れています。

だから、すべて自分の責任かもと思い始めたら、一旦冷静になり状況を確認してください。

相手からそう思わされているだけだと気づくことができると思います。

まとめ

今回は、「自分は間違っていない」と主張し、攻撃をしてくる人の特徴と対処方法についてお伝えしました。

「常に自分は正しい、悪いのは部下」という上司にあたってしまうと本当にストレスが溜まると思います。

そのストレスを溜めたままにしておくと心身に影響が出ますので、今回ご紹介したような方法で解消するようにしてください。

この方法で問題がすべて解決できるわけではありませんが、今よりは楽になれます。

「自分は正しい」と考えている上司はパワハラ攻撃を仕掛けてくる傾向にありますから、その被害に合わないようにしていきましょう。

上司の言っていることがいつも正しいとは思わず、冷静に観察し、ご自身を守っていってください。