先日、体験カウンセリングに申し込みをされた方からこんな相談がありました。
自分の考えた企画書を上司に見せたとき
「なんだ!!この企画書は!」と大声で怒鳴り、内容を説明しようとしても
「屁理屈を言うな」と叱責された。
上司に仕事の進め方を相談しても具体的な指示がなく、
問題が起きれば「あなたの対応が悪い」と皆の前で叱責する。
こんなパワハラを受けていて、もう限界だ。。。
こんなパワハラ上司に遭遇してしまうと、こころが傷つきストレスが溜まります。
ストレスが溜まる主な要因は「自分が否定された、攻撃された」と感じるからですが、実は他にもあります。
それは「上司とはこうあるべき」という考え方です。
この考え方に縛られているとストレスが余計に溜まります。
そして、こうしたストレスがどんどん溜まっていくのに、被害者の方の多くがパワハラから抜け出すための行動を起こそうとしません。
なぜなら「いつかこの状態が変わるのではないか」と期待して待っているからだと思うのです。
しかし、その期待はいつになっても叶えられず、パワハラの袋小路状態が続き、希望が見えなくなります。
今回は、パワハラのストレスを軽減し、袋小路状態から抜け出すためのコツについてお伝えしていきます。
パワハラの袋小路状態を突破するためのコツ
あなたは、冒頭でお伝えした相談内容をみて、どのように感じましたか?
「こんな上司は失格」
「すぐにでも懲戒にすべき」
などと思われたかもしれませんね。
たしかに、上司としては不適切な対応であり、パワハラであることは事実でしょう。
でもそう思われたのは、あなたの中に理想の上司像があって、それとかけ離れたものであったからではないでしょうか。
会社で様々なタイプの上司と仕事をすることにより、「上司とはこうあるべき」という理想の上司像があなたの中で形づくられてきたと思います。
理想があると、そこに近づいていくために努力しますから素晴らしいことではあります。
でも、理想はあくまで理想であり、現実を現実として受け入れておかないと、理想と現実の間で大きなギャップが生じることになります。
上司と接するたびに「上司はこんな対応をするべきではない」と理想が頭をよぎっていては、常に自分にストレスを加えることになるので、それだけ疲れてしまいますね。
このようなストレスを発生させないためには、「自分が理想としている上司像」をいったん横において、まず現実をありのまま受け入れることです。
現実を受け入れるとは、上司のひどい言動をそのまま受け入れなさいということではありません。
「自分が理想としている上司は目の前にいないし、変わる可能性も非常に少ない」ことをはっきりと認識することです。
自分が考える理想の中から上司をみることは、自分の頭の中で上司の上に立ち、どこを改善すればいいのか指導者のような気持ちになれるのかもしれませんが、上司そのものを変える力はありません。
いくら理想を持っていても、相手は変わらないのだから、達成不可能なことをやろうとしているようなものです。
それでは、まさに出口のない袋小路状態に陥ってしまいますから、ストレスが溜まるだけです。
だから、理想はひとまず横において
いまは単に
「ああ、この上司はこんなふうにしか部下に接することができない人なんだな」
「自分の仕事やプライベートがうまくいかずに、きっと困っている人なんだな」
と軽く見ておくくらいが、ちょうどいいのです。
この見方でストレスをゼロにすることはできませんが、ストレスの増加を抑止することはできます。
何を期待してパワハラ上司につきあうのか
日々、パワハラ被害者の方々の相談にのっていてわかったのは、多くの方が行動を起こさずにグッと我慢され続けていることです。
理由を聞いてみると
「窓口に相談したら、厄介者とみられて契約更新してもらえなくなるかもしれない」
「相談することでさらに関係が悪化するかもしれない」
といった不安が先行して動けなくなってしまうようです。
その一方で、どこかでなにかに期待しているから現状にとどまっているのではないでしょうか。
動かずに現状にとどまっているのは「何かが起きるのを待っている」ということだと思うのです。
たしかに、こころが傷ついているときは、目の前のパワハラ上司のことで頭がいっぱいになり、自分を客観視する余裕もないため「自分はいったい何に期待して現状にとどまっているのか」わからなくなってしまいます。
そんなときは、一旦立ち止まって考えてみてほしいのです。
一体、何に期待しているのでしょう。
「上司の態度が一変して優しくなることでしょうか」
それとも
「上司が異動や退職することでしょうか」
現状にとどまっている理由は、おそらくこうした期待があるからではないかと思うのです。
でも、この期待が実現する日はいつくるのでしょう?
すでにわかっておられると思いますが「待っていても期待が実現する日はこない」とはっきり認識することが、今の袋小路状態を突破する第一歩になるのです。
このまま上司と接し続けていても、上司の態度は簡単には変わりませんし、ストレスが溜まり続けるだけです。
大きな会社であれば上司や自分が異動することで期待とおりになる可能性はありまし、異動を自ら会社に働きかけることもできますが、最後は会社の判断ですから自分ではどうすることもできませんよね。
「ここままじっと我慢していても、なにも変わらない」という現実を認めてこそ、変えるために何かできるのかを考えていくことができます。
まとめ
今回はパワハラのストレスを軽減し袋小路状態を突破するための考え方についてお伝えしました。
パワハラ被害を受けているときは、なにか行動を起こそうとしても、行動した後に自分にとって悪い結果が生じるのではないかと不安が頭をよぎるため動けなくなります。
その一方で、この事態を何かが変えてくれるかもしれないという期待を持っていると思います。
でも、その期待は実現しない可能性が高いので、まずはそれを認識したうえで、どう動いていくべきなのか考えていくほうが得策です。
ひとりで考えるのが難しければ、周りの家族や、友人、同僚、もしくは外部の専門家を頼ってください。
現在も、あなたは会社で頑張り続けておられると思います。
頑張り続けることの出来る人は、忍耐強い人ですが、強いストレスを抱えたまま、頑張り続けてしまうと、どこかで力尽きて倒れてしまうかもしれません。
その前に気づいてください。
あなたはかけがえのない存在であり、家族や友人にとってもあなたの代わりになる人はどこにもいません。
だから、いまのその頑張りが報われるものにするためにも、いま、何に向けて頑張るべきなのかを考えてみませんか。
そうすることできっと道が開けていきます。