「どうして私ばかり攻撃されるのだろう。。。理由が分からない。
 仕事だってきっちりとこなしているし、ミスだってほとんどないのに・・」

パワハラを受けている人の中には、こう思っている人もいるのではないでしょうか。

結論として、上司や同僚があなたを攻撃してくる理由は「嫉妬」です。

才能があると他人から嫉妬されるのです。

「自分には才能なんかない」

「嫉妬されるいわれはない」

そう思う人がいるかもしれませんが、自分で気づいていないだけで上司や同僚からみれば嫉妬の対象になる才能を持っているのです。

才能とは頭の良さやスキル等だけでなく、人望がある、社長から期待されているなど、その人が持っている素質や物事を成し遂げる力も含まれます。

そして、彼らはその才能に嫉妬して潰しにかかってくるのです。

今回は、なぜ上司や同僚はあなたに嫉妬するのか、そのメカニズムと対処方法についてお伝えします。

人はなぜ嫉妬するのか

嫉妬とは「自分より立場の下の人が、なにか良いことがあったとき、自分よりも優れた才能を持っているとき」などに起きます。

嫉妬とは怖いもので「相手を攻撃したい、傷つけたい」という気持ちが大きくなり、破壊的な人格となって、ひどい言動や足を引っ張るようなことを意図せずにおこなってしまうのです。

人間が生まれてはじめて嫉妬を感じるのは、赤ちゃんの頃、親がもっているものを自分がもっていないことに気づいて、万能感が失われるときだと言われています。

万能感とは「自分はなんでもできる、限界などはない」と感じることですが、これは子供の頃に普通に持つ感覚です。

しかし、子供から大人へと成長する過程で様々な経験をし、できること、できないことがわかってくるので、一般的に万能感は徐々に薄れていきます。

でも中には、大人になっても「自分は万能者である」という感覚の強い人がいるのです。

心理学的には、大人が持つ「自己の幼児性のあらわれ」だとされています。

子供は自分の思い通りにならないとき、泣き叫び、癇癪を起こして手がつけられないときがありますよね。

それと同じように、彼らは大人になって嫉妬を感じると我を忘れて、自分に劣等感をもたらす相手を破壊したいと思うようになるのです。

普通はそう思ったとしても自制することができるのですが、それができない人は相手をこき下ろし貶めることで自分の価値を上げようとしていきます。

こうした行動を取ってしまうのは、成長過程で万能感が薄まる経験をしてこなかった、そうした機会がなかったことが原因になります。

どんな場面で嫉妬してくるのか

職場で考えると、一番わかりやすいのは「人からの注目や羨望が相手に奪われそうなとき」です。

私の知っている例をひとつお伝えします。

あるWEB開発会社に勤めるAさんは、とても優秀な技術者で後輩の面倒もよくみるため周囲から慕われている人でした。

パワハラは、Aさんが管理職に昇進してから始まりました。

パワハラ加害者は直属の上司であるB部長です。

B部長は、これまでAさんをかわいがっていたのにAさんが管理職になったとたん豹変したのです。

事あるごとに嫌味を言い、仕事ができていないと罵り、精神的に追い詰めていきました。
周囲から見ても「どうしてそこまでするの」というほど攻撃したのです。

そのあとAさんは休職し、復帰することなく退職されました。

B部長がAさんを攻撃した理由は嫉妬です。

「これまで自分の能力や頑張りでこの部署を引っ張ってきた。会社からも周囲からも評価を得てきた。でもこのままでは、この優秀な部下に取って代わられるのでは・・・・」

という焦りが湧き上がってきたのです。

実際は経験も実績もB部長のほうが上なのだから、どっしりと構えていればいいのにそれができないのです。

このB部長は、嫉妬により破壊的な人格に豹変しAさんを潰しにかかったわけです。

このときB部長は、Aさんのためを思って厳しく指導しているつもりですが、本当はただ嫉妬を感じて破壊的な人格になっているだけなのです。

「私は間違ったことはしていない、Aさんのためと思って厳しく教えているのだ」と本気
で思い込んでいるのです。

「あなたのためを思っている」はウソ

B部長のようにパワハラする人がよく使う言葉「あなたのためを思って」というのはウソと思ってください。

本人は「あなたのためを思って言っている」と思いこんでいますが、無意識下ではその言葉を使うことで、自分の嫉妬の感情を表に出さず、気づかれないようにカモフラージュしているだけなのです。

相手の心配をしているのではなく、自分の心配をしているのです。

だって、本当に相手のためを思っているのなら、相手の立場に立って話しをするはずですよね。

あなたにパワハラしてくる上司や同僚はどうでしょう。

あなたの話をしっかり聞いたうえで話しをしてくれているでしょうか。

していませんよね。

嫉妬で攻撃してくる人の目的は「自分より幸せな状態から引きずり下ろす」ことです。

引きずり下ろして、自分より上にはいかせないようにしたいという意図があるのですから、相手の立場に立って話すはずがありません。

だから、もし相手の言っていることが正しく聞こえたとしても「あなたのためを思って」と言ってきたら「全部うそ」という認識でいましょう。

嫉妬への対処ポイント

では、嫉妬で攻撃してくる人に対してどのように接したらいいのか、今回はポイントを3つお伝えします。

①相手が抱くイメージを傷つけない

彼らが嫉妬してくる裏には必ず理由があります。

だから、まずはその理由を探るのです。

例えば、彼らは彼ら自身に対して抱いているイメージがあります。

そのイメージを傷つけないようにするのです。

先ほどのB部長とAさんの事例で言えば、B部長は「自分は優秀でありAさんより上だ」と思っているのです。

だから、Aさんの立場であれば、B部長に対して時折自分の欠点や弱みを見せるか、「たまたま運が良かっただけ」などと言って幸運のせいにしたりして、B部長の地位を脅かさないようにします。

相手と張り合うことなく、当たり障りなく、目立たず、注目を引かないようにしていくのです。

冒頭でお伝えしたように、相手は万能感が残ったままの幼児であると考えて、接するようにしましょう。

②境界を設定する

相手が嫉妬で攻撃してきているなと気づいたら、その攻撃を個人的なものとして受け止めないことです。

間違っても「自分が悪いんだ、自分に能力がないからだ」などと自分を責めてはいけません。

彼らは嫉妬を感じると反射的に攻撃してきますが、それは彼ら自身のためなので応じる必要はないのです。

相手と自分の間に境界線を引いておき、相手がその境界線から踏み入ってきそうになったら、こころの中で「いいかげんにしろ、これ以上入ってくるな」と必ず跳ね返すのです。

そして、相手が嫉妬する理由や行動を観察し読み取る方法を身につける一方で、こちらのやり方は読み取られないようにしましょう。

プライベートなことは言わず、自慢するようなこともせず、本当の自分を意図的に隠すのです。まるで俳優になったかのように振る舞います。

あくまで嫉妬してくる上司や同僚の前だけでいいですから、自分を上手にコントロールしていきましょう。

③人間関係を強くする

パワハラ被害を受けているとき、それに対処しようとするとき、大変なエネルギーを消耗します。

そんなときに助けてくれるのはやっぱり家族や仲間です。

こうした人達と普段から健全な関係を築いておくことは大切です。

相談者さんの中には、パワハラで休職を余儀なくされたけれど、家族の支えがあって復帰してパワハラに立ち向かった人もおられます。

ある相談者さんは、お父さんが「会社を辞めてもいいのだぞ、なんとかなるから心配するな」と声をかけてくれたことで家族の大切を感じるのと同時に「パワハラに立ち向かう勇気」が湧いたそうです。

パワハラに立ち向かうには家族、信頼できる友人、同僚などの力が必要です。

そのため人間関係を強くしていきましょう。

まとめ

今回は、なぜ上司や同僚は嫉妬するのかそのメカニズムと対処方法についてお伝えしてきました。

相手は、あなたに対する嫉妬から攻撃してきますが、あなたには何の落ち度もないのです。

何の落ち度もないのだから、なぜ自分が相手に合わせて行動しなくてはならないのだと思われるかもしれません。

たしかにそのとおりで、相手が悪いのです。

でも、相手に対して「あなたが悪いのだから態度を改めろ」と言っても、それが相手には通じないのです。

相手は「自分は正しいことをしている」と本気で思っていますから、それを覆そうとすると余計に反発してきます。

だから、あなたが変わったほうが得策なのです。

相手がなぜ攻撃してくるのかその理由を見抜き、境界線を引いて、自分の身を守っていきましょう。