「オマエさあ! いい加減にしろよ!」
上司や先輩に向かって、こう言ってやりたいと思いませんか?
「なにも悪いことをしていないのに、大声で怒鳴られる」
「ネチネチと悪口を言われる」
「仕事を押し付けられる」
などの理不尽なパワハラ行為をされると、怒りがふつふつと湧いてきて「なんとか仕返ししてやれないものか」と思うのが普通です。
真面目な人は自分の怒りをグッと抑えこもうとするかもしれませんが、心のどこかでは「やり返してやりたい」という気持ちがあると思います。
でも、多くの人が表立った仕返し行為はせずに過ぎ去るのを待ちます。
それは、相手の報復が始まり、これ以上人間関係を悪化させたくないと思うからです。
実際のところ、上司や先輩に表立った仕返しをするチャンスはそう多くはありません。
それに、仕返しのことばかり考えていても精神的によくないし、なにより嫌な相手のことを考えているその時間がもったいないと思いませんか。
では、どうすればいいのか?
それは、相手のことを忘れて、ただ自分が楽になるには、幸せになるにはどうすればいいかを考えて行動するのです。
今回は、まず取り入れてほしい考え方を2つお伝えします。
上司とは最低限の付き合いだけにする
人材採用会社 エン・ジャパンが自社サービスのユーザーに「職場での人間関係」についてアンケート調査を実施しています。
それによると、転職経験者の半数以上が「人間関係が転職のきっかけになったことがある」と回答しています。
また、今までの職場で「人間関係に難しさを感じたことがある」と回答した人はなんと80%を超えていました。
そして、直属の上司、先輩、経営者層との人間関係に難しさを感じた理由トップ3では、
1位 威圧的に感じる
2位 気分に浮き沈みがある
3位 指示に一貫性がない
となっています。
威圧的に接してくる上司や先輩はどこの会社にもいるのですね。
この調査からわかるのは、そもそも「職場の人間関係はよくない」ということです。
わたしは何度か転職を経験しているので、大企業から中小企業まで複数の会社で勤めましたが、どの会社でも人間関係の問題(パワハラ、セクハラ等)がいろいろありました。
人はそれぞれ性格や考え方、価値観なども異なりますから、多かれ少なかれ人間関係に問題が出てくることは当然なのかもしれません。
このように「職場の人間関係はそもそもよくないのが当たり前」と考えたとき、あなたはどう感じるでしょう?
「いや、人間関係がよくないからこそ、よくしていくように努力していかないとダメだ」と思いますか。
上司から理不尽なパワハラで怒りや苦しさで一杯になりつつも、心のどこかで「この上司とうまくやっていくためには・気に入られるためにはどうしたらいいだろう」と思っているとしたら、もうその考えは変えるべきです。
なぜなら、職場も上司も簡単には変わらないからです。
さきほどのデータでも、80%を超える人が人間関係は難しいと回答しているとお伝えしましたが、職場の中には関係をよくしていこうと努力した人もいると思います。
でも、結果として、転職経験者の半数以上が人間関係を理由にしているわけです。
これは、職場や上司が簡単には変わらないからと見切りをつけて転職を決意したとも言えるのではないでしょうか。
だから自分ひとりの力でなんとかよくしていこうと思わずに、わりきって「職場の人間関係は必要最低限でいいや」と考えるようにしてください。
とくにパワハラしてくる上司に対してはそうです。
仕事を進めていくためには、報連相さえしっかりしておけば問題なく、それ以上に関係を深めていく必要はありません。
パワハラ対策としての具体的な行動については、こちらの記事も参考にしてみてください。
「職場の人間関係」は深める必要なし
精神科医 樺沢紫苑氏の著書『ストレスフリー超大全』で紹介されていましたが、対人関係療法において「対人関係の三重円」という考え方があるそうです。
円の一番内側は「重要な他者」で、家族・恋人・親友などが属し、あなたにとってかけがえのない人達です。
そのひとつ外側は「友人や親戚」、さらに外側に「職業上の人間関係」などが入ります。
この円をみると、心理学的からも「職場の人間関係は重要ではない」ことがわかりますね。
「多くの人はもっとも外側の人とも親密な人間関係を築こうとして、多くの精神的エネルギーを浪費して精神的に疲れてしまう」と樺沢氏は述べています。
あなたの大切な人と関係性を深めることに注力する
会社で仕事をしていくにはコミュニケーションが大事なのは確かですね。
でも「上司や先輩と仲良くしなくちゃ」とか、「気に入られないといけない」とか考える必要はありません。
必要最低限のコミュニケーションでも仕事はまわります。
それに、会社の人間関係はあくまで会社内だけのものです。
でも家族や親友はあなたの人生においての関係になりますし、かけがえのない大切な存在ですよね。
それならば、職場の人間にではなく、あなたにとって大切な家族や親友とのために時間を使ったほうが有意義です。
職場の人間関係は後回しでいいのです。
キャリアは自分でつくるもの
他に、キャリア面でも考えてみましょう。
以前は、会社でキャリアを積むために上司からの指導や助言が必要だった時期がありました。
だから上司が気に入らなくてもイヤイヤ従っていましたが、終身雇用が終わろうとしている現在はキャリアについての考え方も変えないといけません。
あなたが働く会社内でのキャリアを考えるのではなく、もっと広くどう働きたいか、どう生きたいかという、あなたが大切にする価値観をもとにして、あなた自身で考えてキャリアを形成していく必要があるのです。
会社なんていつなくなるかわかりません。
だから、いつでも別の道に進むことができるよう自らキャリア計画を立てて実行していかなければ生き残れない時代になっています。
それに、そもそもパワハラしてくるような上司が部下であるあなたのキャリア形成を考えているなんてとても思えませんよね。
いや絶対に考えてないでしょう。
だから、キャリアを積むために上司と仲良くする必要もなく、一定の距離を置くようにして、自分のキャリアは自分で作るものであると認識してください。
まとめ
「対人関係の三重円」でも説明したとおり、一番外に位置する「職場の人間関係」は、業務の進め方に支障がでない程度のほどほどでいいのです。
上司や先輩に気に入られる必要はまったくありません。
一番考えるべきは円の中心に存在する「家族や親友」です。
パワハラにあったとき相談にのってくれるのも、この人達ですよね。
相談することで問題がすぐに解決するわけではありませんが、誰かに自分の思いを聴いてもらうだけでスッキリして、精神的にかなり楽になることはよくあります。
仕事をしていれば、パワハラだけでなく、いろんな人間関係の問題に直面します。
でも円の中心である家族や親友の支えがあれば、必ず乗り切っていけます。
もしそうした人が身近にいなければ社外の専門家や公共の窓口を頼ってください。
あなたが目を向けるべき相手は職場の人間ではありませんよ。
常にあなた自身が楽に、幸せになるためにどうすればいいかに目を向けて行動していってください。