先輩や同僚から暴言を吐く、罵倒するなどのパワハラを受けているとき

「このパワハラを上司が気づいて止めてくれればいいのに。。。」と思ったことはありませんか?

動いてくれればパワハラが止まり、悩み苦しみが消えて働きやすい職場になるのに、どうして上司は動いてくれないのか、今回はパワハラが止まらないメカニズムについてお伝えいたします。

上司はなぜパワハラを放置するのか?

例えば、あなたの先輩社員が、あなたに対して嫌がらせやイジメと思えるような行為をしてきたとき、上司が先輩社員を注意指導しないことがあります。

なんで注意しないのでしょうか?

それは

「注意の仕方がわからない」

「部下同士のことだから静観しておこう」

「相談を受けてから動けばいい」

「自分には関係がない」

など、消極的な姿勢の上司が多いからだと思います。

なかには

「あなたのことを思って厳しく指導しているのだから問題ない」とか

「自分も厳しく注意を受けながら成長してきたからこれくらいはパワハラにならない」

などと考えている時代錯誤の上司もいます。

こうした人達は上司としての責任を放棄しているのではないでしょうか。

他にも、相談者さんから聞いた話では、自分の部下が注意指導という名目で、他の人にさんざん暴言を吐くのを黙って聞いていて、

「◯◯くん、今日はそのくらいで」としか言わないそうです。

こういう上司は、自分の部下が他人にパワハラしても見て見ぬ振りをします。

たまに注意をしたとしても、きつく叱ることはしないので相手には強く伝わりません。

だからパワハラ行為が止むことなくいつまでも続きます。

パワハラ防止に向けてなにもしないということはパワハラ行為に加担しているのと同じことなのですが、そういう認識が上司にはないのです。

このように見て見ぬ振りをすることに、実は「いじめ問題、パワハラ問題の本質」が隠されているのではと思うのです。

いじめ集団の4層構造

いじめ問題は大人社会だけではなく子供社会でも深刻です。

文部科学省は、いじめ防止対策推進法やいじめ防止に関する基本方針を定め公表していますが、ここには「大人社会のパワハラ、セクハラといった社会問題もいじめと同じ地平で起こる」と書かれています。

そして、子供のいじめ問題に関する研究からわかってきたこととして「いじめ集団の4層構造」と呼ばれるものがあります。

欧米では強いものが弱いものをいじめる二層構造が多いのに対して

日本では「被害者、加害者、観衆、傍観者」の4種類で構成される4層構造が多いことがわかっています。

観衆とは、はやし立てたり面白がったりする人達のことです。

いじめが面白いと感じ被害者への不快感をもつなどして、いじめへの加勢集団となっていきます。

そして、傍観者とは「無関心な人達」です。

周りでどんなひどいことが行われても我関せずという人もいれば、正義感はあるけれど、次は自分がターゲットにされるかもしれないと不安になり何もしない人などです。

遠くから眺めてなるべく関わらないようにします。

この観衆や傍観者は、いじめを助長したり、逆に抑えたりする重要な存在なのです。

これらは子供のいじめ問題の研究からわかってきたことですが、子供社会は大人社会の縮図ですから会社でも同じことが言えると思います。

部下がパワハラしても注意しない、指導しない上司は、この観衆や傍観者になってしまっているのです。

でもこれは、上司だけの問題ではなくて、同じ部署、会社で働く他の人達にも言えることだと思います。

こうした傍観者が多くなっていることが、パワハラがなかなか止まらない原因のひとつだと思います。

そこには会社内の人間関係が希薄化していることがあるのかもしれません。

脱傍観者のススメ

このブログを読んでくださっている人の中には、いまパワハラ被害を受けている人だけでなく「自分は被害が少ないけれど、同僚がかなり苦しんでいる」という人もいるのではないでしょうか。

そうであれば、ぜひ脱傍観者となって被害者の相談にのる、社内窓口や上層部に通報するなどの行動を起こしてほしいと思います。

学校にしても会社にしても、いじめ問題やパワハラ問題がニュースに取り上げられるたびに「学校の先生はなにやっているのだ、会社の社長や担当者はなにをやっているのだ」とテレビの前で声を上げることがあるのではないでしょうか。

それと同じようにいま自分の周囲で苦しんでいる同僚がいれば、なにかしらの力になってあげてください。

ひとりで動くのが難しければ仲間を集めていきましょう。数が集まれば大きな力になります。

パワハラする人から距離を置く

2020年6月にパワハラ防止法が施行され、パワハラを発生させないために社内研修等で社員を教育していくことが求められています。

これを機会にしてパワハラに関心を持ち部下のパワハラを放置しない、傍観者にならない
上司が増えてほしいと期待しているのですが、それでも1回研修したくらいでは効果は大きくないでしょう。

それにいま被害を受けている人は、上司が変わるのを待っている余裕はないです。

そのため今すぐにでもできる対策といえば

例えば

・自分の異動を会社に申し出る

 

・上司を異動させてほしいと会社に申し出る


・窓口に相談する


・公共の窓口に相談する


・仲間をみつける


・転職する

などいろいろあります。

暴言を吐き罵倒するような人にいちいち対応していたら心身がもちませんし、もし病気になったとしても会社は責任を取りません。

病気が原因で、長期間復帰出来ないケースだってあるのですから、第一に考えるのは自分自身のことです。

辛くて苦しいのであれば会社に部署異動を申し出たっていいのではないですか。

会社に自分勝手なお願いをするようで気が引けますか?

もしそう思ってしまうのであれば、部署異動してから頑張って会社に貢献すればいいのではないかと思うのです。

会社が異動希望を聞き入れてくれるかどうかはやってみなければわかりませんが、パワハラから脱出するために出来る限りのことを考えていきましょう。

自分を犠牲にしてまで付き合うべき人や仕事はこの世にひとつもありません。

パワハラ行為者に対する処分

2020年6月にパワハラ防止法が施行されました(中小企業は2022年4月)。

この法律ではパワハラ行為者に対して厳正に対処する旨の方針や対処内容を就業規則等の文書に規定し、社員に周知啓発することを求めています。

国家公務員では人事院規則が改定され、パワハラを行った場合の懲戒処分内容が次のように定められました。

・パワーハラスメントを行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。

 

 

・パワーハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワーハラスメントを繰り返した職員は停職又は減給とする。

 

 

・パワーハラスメントを行ったことにより、相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患させた職員は、免職、停職又は減給とする。

会社の場合、どのような処分を下すのかは、各会社の判断に委ねられていますが、この人事院規則を参考にする会社もあるのではないでしょうか。

パワハラ防止法は施行されたばかりですが、行政窓口へのパワハラ相談件数は増え続けていますから、もっと厳しい施策が実行されていくのではないかとわたしは思っています。

というより、そうしなければならないと思います。

今後は、会社対してパワハラ防止の取組内容をホームページなどで公表するように求めることや、労働基準監督署の監査により会社に厳しい処罰を行うことだってあるかもしれません。

パワハラに対する会社の対応はこれから大きく変わっていくと思います。いまとても苦しい状況かもしれませんが、いつか抜け出ることができると信じて、対策を一緒に考えていきましょう。