先日、ある会社にお勤めのAさんからパワハラの相談を受けました。
所属している部署の上司がパワハラをしてくるのですが「仕事でミスした部下を無視する」「書類を投げつける」「陰口を言う」など、パワハラのオンパレードだそうです。
でも、誰も社内窓口に相談しないし、上層部へも報告しない。
なぜなら「報復が怖いから」
もし相談したことがバレたら、きつい仕事のシフトばかり入れられる、罵倒されるなど、恐怖が先に立って動けなくなるそうです。
Aさん以外の同僚もこの上司からパワハラを受けているのに、横の人間関係が希薄なので、被害者同士が協力しあって窓口へ相談しようという雰囲気にならないそうです。
そんな雰囲気のなか、ひとりで窓口に相談するのは、かなりの勇気が必要ですよね。
相談の最中、Aさんは、こんなことも言われていました。
「動きたいけど、やっぱり怖い、仲間が何人かいたら動けるかもしれないのだけれど。。」
そこで、今回は仲間を集めてパワハラ上司を追い込む方法についてお伝えしていきます。
仲間を増やしパワハラ上司を追い込む方法
パワハラする人は、どの会社にも一定数いますが、大多数は普通の上司です。
どこまでが普通の上司で、どこからがパワハラ上司なのか、明確な線引きをするのはなかなか難しいですが、パワハラ上司は以下の傾向がとても強いです。
・好き嫌いで他人を評価する
・他人から優秀だと思われたい
・優越感に浸りたい
・他人を支配し思いどおりに動かしたい
・地位を上げて権力を握りたい
これらは、パワハラ上司に限らず人間なら誰しも感じることかもしれませんが、普通は他人を傷つけてまでは行動せず、ある程度自分を抑制しますよね。
でも、パワハラする人はそれができません。
なぜなら、自分を中心にしか考えられないので、他人が傷つこうがどうしようが関係ありません。
部下がメンタル不調になったとしても
「ちょっと言い過ぎたか、でもそもそも相手が弱いのだから仕方ない」とか
「あいつが休んでしまったのは、俺のせいだと思われて評価が下がったらイヤだ」
といった反応しかできないのです。
そして、大声で怒鳴り、威圧的に接したら「相手はどう思うだろうか」と相手の気持ちを想像することもできません。
相手をイヤな気持ちにさせても、自分に利益をもたらす可能性があるのであれば、なんの躊躇もせずに行動してしまうのです。
また、パワハラする人は「幸せを感じにくい」ようです。
これは冒頭の相談者であるAさんも「あの上司はまったく幸せそうに見えない。会社でしか自分の存在意義を見いだせないのではないか」とおっしゃっていました。
わたしもその通りだと思います。
なぜなら、
信頼出来る人がいる
なんでも言い合える人がいる
自分を頼ってくれる人がいる
誰かの役に立っている
こんなときに人は幸せを感じるものだと思うのですが、パワハラする人はこうした関係を構築することが難しいからです。
人に対して攻撃的な態度をしてしまうのは、自らが幸せを感じることができないことの裏返しなのかもしれません。
いずれにしても、こうした人達をなんとか変えようと思っても簡単には変わりません。
本人が自ら「変わらなければ」と思わない限り難しいです。
だから変わるのを待つのではなく、こちらから動いていくしかないのです。
ひとりひとり仲間を増やしていく
動く方法として一番有効なのは、社内窓口や上層部への相談ですが、ひとりでは報復が怖くて動けなくなることもあります。
そんなときに数名でも仲間がいれば、団結することで恐怖が緩和されますし、勇気も出るでしょう。
ですが、そもそも職場の人は身内ではないので、基本的に他人には無関心です。
そうした他人を仲間にして、自分と一緒に行動してもらうためにはどうしていけばいいのでしょうか。
接触する機会を増やす
まず、職場の同僚と接触する機会を増やすことが必要です。
と言っても長々と会話する必要もなく、まずは毎日挨拶するところから始めて会話を交わしていくようにします。
挨拶くらいは毎日されているかもしれませんが、自分の部署だけということはありませんか。他部署でも味方になってくれる人がいるかもしれません。
人は接触機会が増えれば増えるほど、親近感がわきますし、味方になってくれる可能性が高まります。
だから味方にしたい人がいれば、まずは「絶対に声をかける」と決めて実行するところから始めていきましょう。
雑談を交わす
相手と雑談を交わすといっても、仕事上で絡まなければ「そんなに話題がないんでどうしよう」と思うかもしれません。
それに仕事の話だけだと、ちょっと窮屈で、なかなか自分の考えていることとか、思っていることなんかが気軽に話せなくなるので、仕事の話はしなくていいです。
昨日みたテレビドラマや、芸能人のニュース、読んだ雑誌の話や子供の話など、何でもいいのでまずは話をする機会を増やしていきましょう。
長く話す必要はなくて、数十秒から数分ぐらいでOKです。
お互いに負担がなくて、さらっと終わり、当たり障りのない話題が良いです。
話すのが苦手なら相手の話を聴けばいい
もし自分から話すのが苦手な人であれば、聴くことに徹するのも方法です。
例えば、「どっか旅行でもいきたいね、わたしは□□へ行きたいけど、○○さんはどう?」などと話を振って、相手から話をしてもらうようにしていけばいいのです。
自分が話すのではなく、相手の話を聴くようにしていくといろんな効果があります。
まず「あの人は話を聴いてくれる人だ」と思ってくれるので、相手から話をいろいろしてくれるようになります。
そうすると信頼関係が高まっていきます。
その中で仕事の悩みやプライベートの話が出てくるかもしれません。
そういったことを打ち明けてくれる関係になれば信頼関係もどんどん上がっていきます。
「あのパワハラ上司をどうしよう」という具体的な話が出てくればそれでいいですが、そこまでいかなくても構いません。
お互いの悩みや、つらさなどを共有するだけで仲間意識がグンと上がります。
このような方法でまずは横のつながりを強化していきます。
そして、信頼関係ができたところで、パワハラに立ち向かうために一緒に行動していくのです。
他部署での味方を作る
同じ会社でも仕事を一緒にしているのはごく一部だけという人も少なくないと思います。
そうすると相談できる人が限られてしまいます。
だから、相談できる人を増やすために、自分と違う部署で働く人と接触機会を持とうとすれば自分から動いていくしかありません。
他部署の人でも信頼関係ができれば、その人を経由して社内窓口へ相談することもできますし、パワハラ上司へ注意してもらう機会が出てくるかもしれません。
だから、関係性を築いていくために、お昼に一緒に食事をとる、コンビニに一緒にお昼を買い出しに行く、ときには夕食を共にするなどして関係性を深めていくことも有効です。
パワハラ上司の上位者との接点を作る
パワハラする人は、自分より地位が下の人間には容赦なく攻撃してきますが、上位者へは非常に弱いです。
なぜなら、パワハラする人は自分の地位を守ることや昇進することに必死であり、上位者はその進退を左右するカギを握っているからです。
だから、上位者には絶対服従します。
そのため、パワハラ上司が気にしている人は誰かを観察した上で、その気にしている上位者と接点を持つようにするのです。
雑談や仕事の話題など機会を見つけて話しかけ、接点があるようにパワハラ上司に見せつけることがポイントです。
パワハラ上司に対して、上位者と接点を持っていることは大きな牽制になりますし、いざというときに、この上位者に相談することで対処できるようになります。
このように牽制して「パワハラしてくるのであれば、こちらも動きますよ」と相手に知らしめる必要があるのです。
まとめ
職場ではひとりひとりが自分のことで精一杯であり、同僚を思いやるような余裕がなくなってきているのかもしれません。
もしくは、パワハラを受けている被害者をかばったら、今度は自分が標的にされるかもしれないと思って、見て見ぬ振りをしてしまうのでしょう。
パワハラ加害者を生んでしまうのは、会社トップの意識や、組織の文化・風土などが大きく影響していると思います。
とくに会社トップの意識は非常に大きく影響します。
トップが「パワハラは絶対に許さない」という意識を高く持っていれば、それは社内に伝わりますし、大きな抑制効果になります。
逆に低ければ、仕事ができるからパワハラには目をつぶるといったケースも出てきてしまいます。
いま、あなたがお勤めの会社はどうでしょうか。
もし意識がかなり低いのであれば、いまの会社に留まるのか、他の道を探すのか立ち止まって考えることも必要かと思います。
今回は、仲間を増やしていく方法についてお伝えしましたが、同じ気持ちの仲間がひとりいてくれるだけで人はとても強くなれます。
まず同僚との信頼関係づくりから始めてみませんか。
それがパワハラ問題解決への一歩になります。