「傾聴」と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?
普通に人の話を聞くことよりも、少し高度なテクニックのように感じるかもしれませんね。
漢字の意味するとおり「耳を傾けて相手の話をしっかりと聴く」ことであり、精神科医やカウンセラーなどの職業に必要な基本テクニックと言われたりもします。
精神科医やカウンセラーなどの職業を持ち出すと難しく感じるかもしれませんが、普段から多くの人が実践しています。
今回はこの「傾聴」を活用することによって、パワハラ上司の怒りをストップさせる方法についてお伝えしていきます。
傾聴とは?
皆さんの周りに「聞き上手」と言われる人はいないでしょうか。
聞き上手な人は、人の話を遮らず、否定することもぜず、最後までしっかり聴いてくれますね。
ただ話を聞くだけではなく、相手が何を話したいのか、なにを伝えようとしているのかを感じ取って理解しようとしてくれます。
このように「傾聴」とは相手の話を聞くことによって、相手を理解しようとするコミュニケーション方法のひとつと言えます。
例えば
友人から「ねえ、こんなことがあったんだ、聞いてくれる?」と言われて、職場で嫌がらせを受けたことを話してきたとします。
「◯◯さんに、こんなこと言われたんです。これってひどいと思いません?」
その時、肯定も否定もせずにただしっかりと相手の気持ちを理解しようとする姿勢で聞いてあげるだけで、話し手の人は気持ちが楽になってその辛い気持ちがだんだんと薄れていきます。
あなた自身も誰かに話を聞いてもらって楽になった経験があるのではないでしょうか?
このように「傾聴」は、人の気持を楽にする効果があります。
傾聴でパワハラ上司の怒りを鎮める
では、なぜこの傾聴がパワハラ上司の怒りをストップさせるのに活用できるのでしょうか?
そもそもパワハラしてくる人の根本には「自分を認めてほしい」という高い自己承認欲求が隠れています。
自信たっぷりな様子をしていたとしても、 小心者で臆病者でもあり、自分を信じることができず、不安と焦燥感にいつもかられています。
だから自分の思った通りに物事が進まないと、自分が認めてもらえていないと勝手に解釈し、怒りの感情がわいてきて、周りの人間にあたり散らし始めます。
さらに、自分は優秀な人間であると認識するために、相手をおとしめようとさえしてきます。
こんな人間なので、部下が自分に意見してくることをとくに嫌がります。
こうした性質を考慮すると
「パワハラ上司の言葉には反論せずに、まずしっかりと聴くこと」が大切です。
話を聴くことで承認欲求を満たしてあげると本人は満足しますので、怒りが沈静化していきます。
そうはいってもパワハラ上司からの言葉を苦痛に感じることはあると思います。
それは「自分が悪いから責められている」とか「自分に能力がないから」などと思っているから苦痛に感じてしまうのではないでしょうか。
一方的に責めてくる相手に対して自分が悪いと思う必要はなく、単にこの上司が未熟でどうしようもない人間だから、こうやって一方的に怒ってくるのだ」と思えれば聞き流すこともできると思うのです。
このようにパワハラしてくる人に対しては、常に上から目線で見ていくようにしましょう。
怒りを鎮める「傾聴とオウム返し」の方法
怒りのピークは約6秒間と言われていて、6秒以上経つとだんだん収まってくるものですが、中にはずっと怒りが続く人がいます。
その場合は、「はい、わかりました」「すいません」などでは収まらない場合もあります。
相手の怒りの期間が長くなりそうだと感じたら「傾聴・オウム返し」で対応してみましょう。
オウム返しとは、「相手の使った言葉をそのまま伝え返す」方法のことです。
まず上司から怒られている例を見てみましょう。
あなたは、会社で一番大切なお客さんを怒らせてしまった!
どう責任を取るつもりだ!
どう責任をとるつもりだと聞いているんだ!
あなたのせいで部署の全員が迷惑を被っている。
それでどうするつもりだ!
パワハラしてくる上司ってよく「どうするつもりだ」という言葉を使うと思いませんか?
自分が責任を取りたくないからこのように言ってくるのだと思いますが、「どうするつもりだ」と聞かれても、その場で簡単に答えることはできないですよね。
仮に答えても上司の考えと違っていれば、さらに怒りに火を注ぐことになってしまいます。
でもそのままにしておくと、パワハラがエスカレートしていくので、どこかで相手の怒りを食い止めなければなりません。
そこで「傾聴・オウム返し」を使って、次のように対応します。
怒っている相手の言葉を拾いオウム返しであいづちを入れながら、反論せずに聴いているだけなのですが、相手は「自分の言葉が届いている」「自分の言葉を理解している」と捉えます。
そしてこの「傾聴・オウム返し」をしている時は、自分なりに反省している表情や態度をみせることが大切です。
言葉だけで返しても相手から反省しているように見えなければ、怒りは収まらず勢いを増して長期化してしまいます。
でも相手の感情をしっかりと受け止めたように相手に見せかけて、「ちゃんとあなたのことを理解しています」と伝え返すと、相手の怒りが徐々に収まっていきます。
まとめ
「傾聴・オウム返し」は、目の前の相手の怒りが長期化しそうな時に使います。
相手が言ってきたことを受け止めて、そのまま相手に伝え返す方法なので誰でも取り組みやすいと思います。
また相手の怒りの理由が何であれ、そのことに同意しなくても、「傾聴・オウム返し」によって怒りを受け止め理解したように相手に見せることができます。
受け止めることで相手に対して「あなたのおっしゃることはよくわかりました」というメッセージを送ることができるので、怒りが徐々に鎮静化していきます。
「傾聴・オウム返し」は相手の怒っている時間を短くすることができますが、あまり使いすぎると逆に「聴いてくれていない」という印象を与えてしまうことがあるので注意しましょう。
パワハラ上司に真正面から反論しぶつかっていく方法もありますが、自分が損する可能性が高いので、まずはそれ以外の方法を考えるほうが得策です。
その方法のひとつとして「傾聴・オウム返し」を活用してみてください。