「月曜日はあの人と打ち合わせしなきゃいけないのか、イヤだなあ」

「課長は、私と話す時だけ威圧的な態度をとるから嫌い」

「同僚のあいつはいつも偉そうにして、私をバカにしてくるから会いたくない」


このようにいつも頭に浮かべてしまう人が職場にいると、毎日が本当に憂鬱になります。

一番大切な自分の家族や楽しい趣味のこと以上に、相手の存在が頭の中で大きくなってしまうと気分が落ち込み、息苦しさでいっぱいになってしまうのではないでしょうか。

そして周りを見渡して、私だけが攻撃されているかと思うと「なんでわたしだけ?なんとかする方法がないだろうか」と考えると思います。

今回は、この大きく見えてしまう相手の存在を「小さくてちっぽけな存在」に変えて、あなたのストレスを減らす方法をお伝えしていきます。

パワハラ上司の存在を小さくする賢い接し方

そもそも相手は、なぜあなたを攻撃してくるのでしょうか?

それは相手があなた自身に何らかの「脅威」を感じているからです。

「脅威? そんなはずはない、 だって相手はいつも偉そうに威圧的に接してくるのだから」と思うかもしれません。

たしかに表面上はそう見えないかもしれませんが、実は心の中で脅威を感じているのです。

例えば、あなたは、穏やかな人柄で後輩の面倒見も良く、他人に脅威を感じさせるような雰囲気も持っていないと思っているかもしれませんが、そんなあなたの面倒見の良さや人柄に相手は嫉妬を感じている場合もあるのです。

他にも、 あなたが自分とは違う価値観や意見を持っていたり、自分にはできないことをやっていることを知って、その羨ましさが悔しさになって攻撃してくる場合もあります。

脅威とは「恐れる」という意味だけではなく、嫉妬や不安、鬱憤など自分の心理的な安全を揺るがすもの全般を指すと考えてください。

子供の頃、友達に意地悪した経験のある人がいるかもしれませんが、なぜ意地悪したのかその理由を思い出せるでしょうか?

たぶん、思い出せないと思います。意地悪している実感さえなかったかもしれません。

そのときは、友達に対して羨ましいと感じることがある、人と比べられる家庭環境で不満を抱えているなど、なにかしら自分の心理的な安全を揺るがされていると無意識に感じていたからこそ、「意地悪」という行動に走ったのだと考えられます。

それは大人の社会でも同じで、脅威を感じたときは相手を攻撃することで何とも言えない不安や鬱憤を晴らそうとしているのです。

子供とは違って大人は、より陰湿になったりしますのでやっかいです。

このように世の中は、理不尽な理由で攻撃してくる困った大人がいるのです。

それにあなたが「反撃してくるようなタイプの人ではない」ということも相手にとっては都合がよく、攻撃しやすい理由になります。

大声で怒鳴っても、ネチネチと嫌味を言っても、あなたがグッとこらえるタイプであればいつまでも攻撃を続けることができるからです。

相手をちっぽけで取るに足らない存在と認識する

あなたを攻撃してくる人が現れた場合、プライベートなら付き合わないだけで済むのですが、職場ではそういきません。

こうした人と上手に付き合っていくには「アサーティブ」な対応も一つの手です。

アサーティブについてはこちらの記事を参考にしてください。

職場では確かに上司と部下の関係かもしれませんが、それはあくまで職場での役割に過ぎず、ひとりの人間としては対等な関係のはずです。

だから嫌がらせしたり、大声で怒鳴り恐怖を感じさせるなどしてはならないことです。

それがパワハラする人にはわかっていません。

そうなると人として対等な関係にあることを、相手に分からせてあげないといけないわけです。

それには自分が不快に感じていることは「不快だ」と素直に言うことが大切です。

例えば「そんな大声で話をされると、とても怖く感じて自分の意見が言えません」などです。

このようにアサーティブな表現で自分の意見が言えればよいのですが、これはある程度の心の余裕がないと難しいかもしれません。

相手が怖くどうしても大きな存在に見えてしまううちは、意見をいうことで相手の機嫌を損ねてしまい、さらに攻撃されてしまうという恐怖が頭の中にイメージできてしまうからです。

でも、だからこそ、このイメージを変えていかなければなりません。

相手は「取るに足らないちっぽけな存在」と気づく必要があるのです。

「メタ認知」という手法を使う

「メタ認知」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

メタ認知は、うつ病などの治療にも使われる認知行動療法のひとつです。

自分という存在を客観的に意識する能力のことを心理学では「メタ認知」と呼びます。

簡単に説明すると、自分と周囲の人たちとの関係を客観的に見つめるというものです。
あるいは、あなたが鳥になって空中の高いところから眺めて、第三者的な視点で観察するイメージです。

こうすることで「客観的に自分は他人からどんなイメージで見られているか」がわかるようになります。

人間は他人のことはよく見えても、自分のことはよくわかっていないことが多いのです。

自分の考えや行動が周りの人にどういう影響を及ぼしているか、そして周りの人は自分をどう見ているのかについても一定の認識を得ることができますので、この方法をオススメします。

まずあなたの部署の人間関係を、高い上空から眺めてみてください。

例えば、あなたはパワハラしてくる上司が嫌いで関係がうまくいっていなくても、同僚の A さんはその上司とうまく関係性を築いていることもあるわけです。

つまり客観的に見て、自分の思考や行動が上司に対してどんな影響を及ぼしているのかを把握できれば、パワハラしてくる原因を探ることができるので、何かしらの対策を打っていくことができるようになるのです。

これまでの上司とのやり取りを振り返ってみて、何気ないあなたの言動が相手の気分を害していることはないでしょうか?

上司に対して「でも」「だって」など言い訳することが多かったり、意見を聞かれても上司にあわせるだけで考えを言わない、などはないでしょうか。

これはあくまで一例ですが、このように日常の言動を含めて、自分と相手との関係を客観的に眺め直すとよいのです。

そうすると同僚の A さんが上司とうまく関係性を築けている理由は何か、自分とは何が違うのかも気づけますし、自分が反省すべき点もわかるようになります。

そして、もうひとつ気づいてほしいのは、相手の存在の小ささです。

空中の高いところから眺めてみると、職場のあるオフィス、高層ビル群、住宅街、通勤に使う電車などは小さく見えますよね。

その中で生きている上司なんて、さらにちっぽけな存在だと思いませんか?

あなたは、いま、頭の中で上司の存在をとても大きく感じているかもしれませんが、このように存在の小ささに気づけば、「この人が自分の人生に与える影響はとても小さく、ちっぽけな存在だ」と考えることができると思います。

このように継続して考えることで、相手の存在が小さく思えてきたら、先ほど紹介したアサーションを使って自分の意見を伝えるようにしてみてください。

まとめ

今回は、パワハラ上司の存在を大きなものから、小さなものへ変える方法についてお伝えしてきました。

ぜひ「メタ認知」を利用して、常に自分の状況を客観視するようにしてみてください。

自分と上司、同僚の関係などを普段から客観的に見ていくと人間関係の改善点に気付けると思いますので、やってみることをオススメします。

もちろん、一度やるだけではわからないかもしれませんが、継続的に行うことで気づきがあるはずです。

そして、今後、上司に捕まって何か指摘されたとき、客観的に見て自分が悪かったと思えば「すいません」と謝って同じミスをしないように気をつければいいだけですし、もし自分が悪くない場合はラフに聞き流すようにしていきましょう。

相手からなにか言われているときも、その場から幽体離脱したように自分と上司を上から客観視してみると「取るに足らないちっぽけな人が、なんかギャンギャン吠えているなあ」くらいで見られるようになります。

いまはまだ、パワハラ上司の存在が大きく見えているかもしれませんが、日頃からメタ認知を利用して自分と相手の関係をとらえ、小さな存在だと認知を変えていきましょう。

この認知を変えるだけで、あなたのストレスを大きく減らすことができますから。