上司からパワハラ受けているとき、
「あなたは、なんでそんなことができないの?!」
「あなたのやり方は間違っている」
などのように「あなたは◯◯だ」と上から目線で断定した発言をしてきませんか?
こうした発言は、上司から部下に対して「責任を求めたり、否定したりする」言葉になるので非常に攻撃的な印象をもたらします。
このように「あなたは◯◯だ」という言い方のことを「ユー・メッセージ」と言います。
これは「あなた(YOU)」を主語にして話す方法です。
こうしたユー・メッセージをまともに受けた部下は、傷つきますし防御本能が働きます。
頭が真っ白になって思考停止になってしまうこともありますし、売り言葉に買い言葉で 上司に対して「あなたの指導の仕方が悪い」などとユー・メッセージで返してしまうと、さらに上司の怒りを大きくしてしまうかもしれません。
こんな時は、私(I)を主語にしたアイ・メッセージを使うと、相手の反発を買わずに提案や抗議することができますのでパワハラ上司に対しては有効な方法です。
今回はこの方法についてお伝えしていきます。
防御はパワハラ上司への最大の攻撃なり
はじめに、パワハラ上司が部下に対して「あなたのやり方がおかしい、あなたは間違っている」などと、ユー・メッセージで発言しあなたを否定してくるのはなぜでしょう?
それは自分自身を正当化したいという心理が働いているからです。
彼らはこれまでの生き方や築いてきた自分の価値観が、正しいものであると1ミリも疑っていないのですが、そもそも人生は人それぞれであり、生き方とか価値観も違うのが当たり前ですよね。
それなのに自分の生き方とか価値観を前面に押し出してくるのは「私は正しくて間違っていないことを証明したい」と思っているからです。
パワハラしてくる人の中には、こうした人が実に多くいます。
ではなぜ、自分の生き方や価値観を前提にした言動をせずにいられないのでしょう?
そこにあるのは自分の人生や仕事、家庭など日常生活に対する満たされなさです。
考えてみれば、人生が充実していて日々の暮らしに満足している人は、自分の生き方を自慢したり、言いふらしたりすることはありませんよね。
つまり、自分の生き方や価値観を前提にした言動を行わなければ「これまでの自分の人生が否定されてしまう」、「価値がなくなってしまう」という不安や焦り、恐怖がこころのどこかにあるのです。
「自分の人生がとても充実している」と言い切れず、いろんな不満を抱えながら生きていたとしても、多くの人はそうした感情を自分自身で受け止めながら生きていると思います。
でも、パワハラする人はその不満を自分自身で受け止めることができないのです。
だから言わずにいられません。
そして、感じている不満や恐怖を自分の手で変えることはできないため、他人を否定することで自分の存在価値を高めようとするのです。
アイ(I)メッセージで自分を防御する
ここからは、こうした自分の生き方や価値観を押し付けてくる上司との対面中に使える自分を防御する方法「私(I)を主語にしたアイ・メッセージ」についてお伝えしていきます。
アイ・メッセージは、(私)を主語にして使います。
これは「私はこう思います」「私はこうしたいのです」と伝える方法です。
冒頭でお伝えした、ユー・メッセージは「あなたがこうしたから」「あなたがこう言ったから」という発言になるので、聞いているほうは責められているように感じるので冷静な話し合いになりいくいのです。
例えば、
職場の上司から「あなたのやり方は間違っている」と怒られたとき、アイ・メッセージを使って「私はこうやりたいと思っているのです」と切りかえすのです。
このように(私)を主語にして発言することで、上司への攻撃性を弱め、かつ自分を防御しながら意見を言うことができます。
アイ・メッセージを使っておくと、上司は「自分の意見に反論された、否定された」とは思いづらいので、部下を攻撃する可能性が低くなります。
これをユー・メッセージで「あなたの指示の仕方がおかしいのではないですか?」などと返してしまうと上司との対立を激化させてしまうだけです。
特にユー・メッセージで攻撃してくる上司は不安や恐怖を抱えているので防御本能が高まっていますから、そこに反論することはやめておきましょう。
また「私」が主語であっても「 私が〇〇したのに」という言い方は、アイ・メッセージとは言えません。
こうした発言には、相手に見返りを求めることや、責任転嫁などの気持ちが見えてしまうので、素直に話を聴いてもらうことは難しくなります。
自分が主体ではあるのですが、相手を尊重することも必要になります。
ここで、アイ・メッセージの事例を上げてみます。
これはあくまで一例であり状況に応じて変えていかなければなりませんが、あなたならどのように返しますか?
事例1
事例2
上司からの言葉に対してアイ・メッセージで伝えることは簡単ではなく、時間がかかるかもしれませんが、少しずつ試してみてください。
相手の意見を一方的に受け止めないことはストレスの予防に大切ですから、反論する際も「私はこう考えます」「こう思います」と アイ・メッセージで伝えるようにすることで、自分を防御しながら意見を言えるようになっていきましょう。
このアイ・メッセージの方法はアサーティブな表現をするときにも有効です。
アサーティブはこちらの記事を参考にしてください。
クッション言葉を併用する
上司に対してアイ・メッセージを伝えるとき、一言「クッション言葉」を入れておくと印象が変わってきます。
「クッション言葉」とは、相手に何か言いにくいことや頼みごとを伝えるときに柔らかく表現できる言葉です。
非常に実践しやすい対処方法なので、アイ・メッセージと併用すると、さらに自分の考えや要望を上手に伝えることができるようになるのでオススメです。
例えば
職場の上司から「あなたのやり方は間違っている」と怒られたとき
「お言葉を返すようですが、私はこうやりたいと思っているんです」
のように「お言葉を返すようですが」というクッション言葉を入れるだけで印象が変わると思います。
「発言する・異論を唱える時」のクッション言葉の事例をあげておきます。
僭越ながら・・・
おこがましいことですが
お言葉を返すようですが
差し出口を申しますと
身の程をわきまえず
失礼とは存じますが
まとめ
今回は上司の反発を買わず提案や抗議する方法の「アイ・メッセージ」についてお伝えしました。
こうした方法を取ることで自分を守りながら上司に意見を言うことができるようになります。
もちろんこの表現ができたからといって毎回報われるとは限りません。相手になかなかうまく伝わらずに 「だからどうしたの?」と言われてしまうことがあるかもしれません。
そう言われたらどうすればよかったんだろう、こんな方法を取らなければよかったと落ち込むこともあるでしょう。
でも、勇気を出して行動されたその一歩がパワハラから抜け出すことに必ず繋がります。
ストレスを軽減しながら上司と付き合う方法も記事にしておりますので参考にしてください。
これからもこのブログやメルマガでパワハラから抜け出すための方法をお伝えしていきます。