「自分が我慢すればいいんだ」

「自分が頑張ればいいんだ」

上司からパワハラ被害を受けているのに、このように考えて自分の本音や感情を表に出さず、心の中に閉じ込めていませんか?

本当は

「こんな上司なんて消えてしまえばいい」

「どこか遠くの部署にでも飛ばされればいいのに」

こんな感情があるのに、誰にも言わず、表に出さず、我慢し続けてしまう。。

「威圧的に接するのは止めてください」

「それは、私のせいではありません」

など、言い返してやりたいのに言えない。。

こんな上司との関係に疲れてしまったという人も多いのではないでしょうか。

こうした悩みを解消していくには、相手との間に心の境界線を引くことが有効です。

境界線を引くことで自分を守ることにもつながりますので、今回はその方法についてお伝えしていきます。

相手との境界線を引くことで自分を守る

相手との境界線を目に見える形で引けるわけではありませんが、

「私はここまではやるけど、この先は関与しない」

「これは上司の問題であって、自分の問題ではない」

というように、あらかじめ自分で決めた境界線を引いておくと、自分の心を守ることができるようになります。

この境界線を引いておかないと、いろいろ悩みが生まれてしまうのです。

冒頭でお伝えしたように

「相手に言いたいことが言えない」

「本音を隠して我慢ばかりしてしまう」

これらは相手との間に境界線をうまく引けないから起きてしまいます。

だから自分を守るためにも、心の中で相手との境界線を引くことが大切なのです。

心の境界線を引ける人、引けない人

パワハラしてくるような威圧的、攻撃的な上司に対しては、心の境界線をしっかりと強く引いておく必要があります。

例えば、上司が大声で怒鳴る、威圧的に接してくるなどのパワハラ行為をしてきたとき、

心の中で線引きできる人は、「そんなに大きな声で言われなくても聞こえてます」「とても威圧的に感じるので止めて欲しいんですが」と伝えることができます。

または、相手のことを配慮しながら、言葉を選んで話すことができます。

一方、線引きできない人はどうでしょう。

「相手があのように接してくるのは、自分にいたらない点があるから」

「相手は上司だからすべて聞かなきゃいけない」

「相手に合わせなくちゃいけない」

こんなふうに思っていないでしょうか。

威圧的に接してくる、大声を張り上げるなどは、そもそも相手の問題なのに、自分が責任を負ってしまいます。

別の言い方をすると、大嫌いな相手のことばかり気になり、依存することになってしまうのです。

本来はパワハラしてくる相手が解決するべき課題なのに、自分のことと受け止めてしまうと非常に辛く感じてしまいます。

だから、相手との境界線を意識して「ここから先は自分の問題ではない」と線引きしておくことが大切になるのです。

境界線を引くのが苦手な人の特徴

相手との境界線を引こうと思っても最初はうまくいかないかもしれません。

時間をかけて練習していく必要はありますが、次のように考えている人は境界線を引くのがもともと苦手なので注意が必要です。

相手に認めてもらわなければならない

あなたは、パワハラしてくる上司に対しても「なんとか好かれて、認められなければならない」と思っていませんか。

相手に認められなければならないと感じてしまうのは、自分に自信がなく、相手の評価に委ねてしまっているからです。

ありのままの自分ではダメだと感じていると、無理をしながら相手に合わせようとしてしまいます。

「上司から好かれ、認められなければならない」

「会社では上司の言うことを絶対に聞かなければならない」

「いつもいい部下でいなければならない」

こんな風に信じこんでいて、必死に頑張っていきますが、無理を続けてしまって健康を損ねてしまう人もいるのです。

仕事を進めていく上で上司との関係性は大切ですが、好かれることも、過度に合わせる必要もありませんよね。

だから、もし「~しなくてはいけない」という強迫観念があるなら、そこから解放される必要があります。

自分を大切にしていない

あなたに「自分を大切にしていますか?」という質問をしたとき、あなたは「Yes・No」 のどちらを選択するでしょうか。

ここで迷う人や、Noを選択する人は境界線を引くのが苦手です。

自分の本音や感情を心の奥に閉まったままだと、自分に焦点を当てる機会がないので、自分を大切にするということを感じにくいのです。

もしかしたら「自分を大切にするってどういうこと?」と戸惑ってしまうかもしれません。

「自分を後回しにして他人を優先してきた」「自分の感情を出すのは危険」など、自分の本音や感情を長年閉じ込めてきた人は、自分を大切にするということがよくわからないのです。

もう無意識に自分の本音や感情を閉じ込めてしまうのですが、そうしてしまうのは、本音や感情を出してしまうと、よくないことが起きるのではないかという信念があるからです。

パワハラ被害を受ければ「怒り、悲しみ、辛い、イライラ」といった様々な感情が出てくると思います。

「あの上司は許せない」「いつか仕返ししてやる」と思っても、すぐさま封印して、相手に合わせようとしてしまいます。

大声で怒鳴られる、威圧的に接してこられたときは恐怖心が強いかも知れませんが、そのあとでだんだん「なんて理不尽なんだ」と怒りがわいてくることもあると思います。

それでも、怒りを表現してしまうと

「報復されるかもしれない、大切なものを失くしてしまうかもしれない」

「自分が怒ってもなにも変わらない」などと考えてしまうのです。

このように自分を押さえつけてしまうのは、子供時代に怒りを表現して辛く悲しいことがあり、「怒りは表現してはいけない。危険なものだ」と考えてしまった経験があるからです。

このように押さえつけていた怒りが溜まっていくと、どこかで爆発してしまうことがあります。

爆発することによって自分の心体を痛めつける、誰かを悲しませることになるなど、自分が望まない結果につながってしまうかもしれません。

自分のためにもっと自分を大切にすると決める

では、自分自身を大切にしながら上手に境界線を引いていくためにはどうすればいいのでしょうか。

それは、自分の本音や感情をそのまま受け入れることです。

今、自分はどんな感情を抱いているのか、何を考えているのかに集中します。

「こんな感情を持ってはいけない」

「こんなことを考えちゃいけない」

などとは一切思わずに全てを受け入れることです。

「私は今とても不愉快な気持ちになった」

「理不尽なことを言われて腹が立った、悔しい、悲しい」

というように、わいてきた自分の感情をそのまま受け止めてほしいのです。

理不尽でパワハラしてくる相手に合わせるのではなくて、自分の本音や感情に目を向けてみてください。

自分の今の感情に注目するのです。

その感情がぼんやりしているなら、紙に書き出したりすると明確になります。

このように本音や感情を素直に感じ取ることは、自分を大切にし、自分を認めることの第一歩になります。

いつか仕返ししてやると思っても、それを行動に移すかどうかは別にして、まず自分の本音や感情を十分に感じてみてください。

そして、上手に境界線を引いていくために「自分を大切にする」と自分自身に約束し守っていってください。

そうすることで徐々に相手との境界線が引けるようになっていきます。

まとめ

相手との境界線を引くことで悩みは減り、自分を守っていくことができます。

これからは、ぜひ「自分のために、自分を大切にするために境界線を引く」と決めてください。

そして、「私はここまではやるけど、この先は関与しない」「これは上司の問題であって、自分の問題ではない」と決めて自分の意志を伝えていくのです。

それでもなかなか境界線を引くのが難しいこともあると思います。

その時は、やっぱり自分には無理だと考えることや、これまでと同じように相手に依存しようすることは止めておきましょう。

焦らずにじっくりと時間をかけて境界線を引いていってください。